NARUTO
〜九妖忍法帳〜 38話目




それは、痴情の縺れから起きた惨劇であった。

「お、落ち着いてくれ!!! これには事情が!!」

「事情? どんな事情があるっていうのよ? 結婚してたことも子供がいることも黙ってたくせに・・・」

隠された真実を知った女は、幽鬼のような足取りで男を追い詰める。

静かに、だが確かに燻る怨嗟の炎。

「私と寝たのはお遊びだったんでしょう?」

「お、俺はそんなつもりじゃ・・・」

「別に言い訳しなくてもいいわ。 元々そんなつもりで言ったわけじゃないんだから」

女が手にした刃物が鈍い輝きを放つ。

「ぐはっ!」

男の体に切っ先が沈む。

「ふ・・・うふふふ・・・」

愛した男を貫きながら、女は笑っていた。

狂ったように笑っていた。

「お、お父さん!? 何してるの!?」

何時の間にか帰ってきた娘。

「く、来るな・・・! 来るんじゃない・・・っ!!」

血だらけで倒れ伏した男が、懸命に叫んだ。

「お父さん!! い、いやあぁぁぁああああ!!!」

そして、耳を裂くような悲鳴が木霊した。









―居間―

「・・・・・・ナルト。 これのどこが面白い」

エンディングテロップが流れるテレビ画面の前。

胡座を掻いていたシノが、使い古されたシチュエーションに微妙な表情をしながら、すぐ傍でごろ寝している友人に意見を求めた。

「別に面白くねぇよ」

家主ことうずまきナルトは、本当に面白くなさそうな顔をした。

ナルトとて、別に見たくて見ているわけではない。

ただ単に見たい番組がなかったのである。

「つーか、この時間帯の番組なんざどれも同じだろ。
 しょうもない事件とか有名人のスキャンダルとか、どうでもいいんだよな実際」

それ以前にナルトはあまりテレビを見ない。

昼夜問わず。

使えない知識は要らないし、社会情勢が知りたければ新聞でも見て要点だけ押さえておけばいい。

と、常々思っていたりするからだ。

もっとも思っているだけで、口には出さない。

というか出せない。

うずまき家にはテレビっ子(というには年齢的にキツイ)が多いので、テレビに関して迂闊な発言をすると間違いなく顰蹙を買う。

アンコは毎朝欠かさずラッキーカラーをチェックしているし、ツクモは動物番組に目を輝かせている。

雪は朝の運勢で一日のテンションを決める。

(正直止めてほしい)

白はベテラン主婦の披露する生活の知恵に、『ふっ、その程度ですか?』とでも言いたげに勝ち誇った顔をする。

(無意識の内にやっているのだろうが、その時の黒い笑みが怖いので娘の前では控えてもらいたい)

再不斬はドキュメンタリーを見ると必ず涙ぐむ。

親切心からハンカチを差し出すとキレる。

(照れ隠しに首切り包丁は勘弁願いたい)

玉藻はわざとらしい上に大げさな通販のCMに一々驚き、必要もないのにホイホイ購入し金を払うのはいつも自分。

注意したら逆ギレ。

(何度言っても態度を改めないので、全額肢体で払わせることにした)

夜空は格闘技のKOシーンに奇声を上げる。

(エキサイトするあまり殴り掛かってきたので返り討ち。 でも翌日になるとケロッとしていた)

自来也は深夜のエロ番組にムラムラきて、そのままAV観賞及び自家発電に勤しむ。

(それだけならまだ許せたが、自慰行為をツクモに目撃されていた事が判明。
 全員で袋叩きにし、簀巻きにして川に沈めた。
 が、念入りに縛り上げて石を抱かせていたのに、あっさりと生還。 三忍の実力を見せ付けた)

・・・・・・とりあえず、テレビに纏わる問題が色々と起きている。

そのため、うずまき家家族会議の場でナルトがテレビの撤去を訴えたのだが、全員の反対意見に押し切られ却下となった。

曰く、テレビに罪はないらしい。

結局、テレビは撤去されるどころか、家の住人の増加に伴い更に一台追加された。

「どうした、不機嫌そうな顔をしているが?」

「いや、なんでもない」

嫌な事を思い出したナルトは、頭を振って思考を振り払った。

「そうか。 ところで・・・・・・」

シノはチラリと入り口・・・、正確には入り口の先にある2階への廊下に目をやった。

途端にナルトの眉間に皺が寄り、心底嫌そうな表情が出来上がる。

「あいつらを放っておいていいのか?」

ドタバタと騒がしく走り回る足音。

ガサゴソと何かを物色する物音。

ヒャッホーという耳障りな奇声。

「「・・・・・・・・・」」

計ったように顔を見合わせる2人。

あまり想像したいとは思わないが、先で起こっている事が容易に浮かんでしまう。

『旦那様の掃除をする』と宣言して、2階の部屋へ向かった紅。

『屋敷の中を見て回る』と言って、以前断念した調査の為に色々と調べ回っているであろうシカマル。

ナルトの半ば本気の妨害を気合で突破して家の中に侵入し、『部下の生活環境の調査』などという名目の下、トレジャーハントに没頭しているカカシ。

ストッパーとなれる玉藻や自来也を始め、うずまき家の人間が出払っているのをいい事に、どいつもこいつも好き放題である。

しかも本音が見え見え。

だが、最早ナルトは止めようと思わなかった。

理由は唯1つ。

「面倒だからほっとけシノ。 飽きたら戻ってくるだろ」

ゴロンと寝返りを打ち、腹の皮に爪を立ててぼりぼりと音を鳴らすナルトは、

「・・・・・・だといいがな」

珍しく溜息など吐くシノを見ながら、散歩に出た娘が帰ってくるまでには家が平和になっていてほしいなぁと思った。









―紅―

九妖ことナルトの部屋に入った紅は、今にも鼻歌を歌い出しそうな雰囲気で掃除に取り掛かっていた。

「もぉ、こんな所に出しっ放しにしてぇ、しょうがないんだからぁ♪」

ベッドに放られていたコートをハンガーに掛ける。

既に新妻気取りである。

まぁブラッシングまでしているところ辺りは、芸が細かいといえよう。

ただ、自分以外の人間が誰も居ない空間で甘ったるい声を出すのは如何なものか。

「ふんふんふふ〜ん♪」

突っ込む人間が居ない所為もあって、ナルトの部屋は紅の独壇場と化して行く。

だが手際は見事である。

テキパキとした無駄のない動作。

無許可であるという事実を除けば、些かの不手際もない。

「よし。 完璧!」

やがて紅は、掃き掃除、雑巾掛け、整理整頓を終えたところで、布団を干そうとベッドに向かう。

「・・・・・・・・・」

視線が一箇所に集中する。

ナルトのベッドにて、髪の毛を一本発見したのだ。

色は金。

一瞬ナルトのものかと思ったが、それにしては長い。

紅の脳裏に玉藻が浮かぶ。

それは何故か、扇子を持って高笑いする姿だった。

「あんの〜クソあまぁ〜!!」

有頂天になっていた紅の顔から、瞬く間に笑みが消える。

「この私を差し置いて、よくもヌケヌケとっ・・・!」

差し置いても何も、後から入ってきたのは紅である。

「薄汚い泥棒猫が! 身の程を知りなさい!」

自分の事を完全に棚上げして、ベッドの中心を殴り付けた。

すると、スプリングの反発力に弾かれ、一冊のノートが舞い上がった。

「九妖のもの・・・・・・じゃあなさそうね」

そのノートは、アカデミーの生徒が使うような子供用のノートだった。

名前の欄に『九十九』と書かれている。

「『ツクモ』・・・でいいのかしら?」

聞き慣れない名前に首を傾げつつ、真中辺りからノートを開く紅。

そこには拙い文字で、一日の出来事が記されていた。









○月○日 晴れ

今日、皆で家族写真を撮った。

いつものことだけど、母上が抱きついてきた。

嫌ではなかったけれど、少し痛かった。

最近偶にだけど、放っておいてほしくなる時がある。

でも口にすると母上が泣いてしまいそうなので、なにも言えないでいる。

少し父上を見習ってほしい。

今日の写真を撮る時、みんなは私と写真に写れなくなるのが嫌だと言って、シャッターを押す役をやりたがらなかった。

でもみんなが喧嘩しそうになっていると、父上がみんなの嫌がる役を引き受けてくれた。

父上は偉いと思った。

でも一緒に写れなかったのは残念だったので、今度2人だけで写真を撮ろうと約束した。

私と父上が指切していたら、みんなが父上を睨んでいた。

特に母上は、真っ赤な涙を流しながらハンカチを噛み千切っていた。

本当に父上を見習ってほしいと思った。









日記には以上の文章が書かれており、隣のページに例の家族写真とやらが糊付けされていた。

「・・・・・・・・・」

紅は状況を1つ1つ整理することにした。

まず、日記の持ち主はツクモという名前で、おそらく写真の中央に写っている少女だろう。

次に、家族と呼んでいるのは、写真に写る面々でこの家の住人。

自来也、アンコ、玉藻、夜空、雪・・・九妖の部下であり自分も面識のある人間だ。

あとの2人は知らないが、写真に写っているという事は同じく家の住人なのだろう。

ただ、少年の隣に立つ人相の悪い男は、何処かで見た気がする。

だが、今はどうでもいいので特に問題視しない。

日記に記載されている言葉に従えば、少女が母上と呼んでいる人物は少女に抱きついている女。

検索・・・・・・・・・検索完了。

少女に抱きついて写っている女は玉藻。

ん? 玉藻?

玉藻が母上? この少女は玉藻の娘?

じゃあ・・・・・・ここに写っていない父上というのは・・・・・・。

「く、九妖・・・・・・・・・・・・?」

さいです。


「うそよぉおおぉおぉぉおおお!!!」


紅は窓ガラスをカチ割って外へ飛び出し、森の中へと走り去っていった。









―シカマル―

九妖。

ナルトと深い繋がりを持ち、ナルトが明かそうとしない真実を紐解くためのカギと呼べる最重要人物。

と、シカマルは考えている。

前回の調査の折りには、里長を襲撃してまで情報を得ようと試みたものの、調べれば調べるだけ逆に謎が深まっていった。

だが、今。

サスケという、別に手痛くも何ともない犠牲のお陰で好機が巡ってきた。

しかも屋敷は無人・・・・・・じゃないが、シカマルの天敵、もとい、師匠である玉藻さんが不在ときている。

目的の障害となり得る人が居ないという点では無人も同じだ。

まさに千載一遇の好機。

世話になっている人の家を嗅ぎ回るような行為に、後ろめたさがないとは言えないが、この機を逃せば次はない。

良心の呵責に苛まれつつも、躍起になって家の中を調べていた。

しかし、片っ端から調べていったにも拘わらず、それらしきものは何も見付けられなかった。

―くそ、このまま指を咥えてるわけにはいかねーんだ!

壁を殴り付けたくなったが、大きく息を吸って衝動を抑える。

焦ったところで何の解決にもならない。

そう自分に言い聞かせ、深い呼吸を繰り返す。

暫くそうしていると、普段の冷静さが戻ってきた。

そこでシカマルは、来る途中に家の外で見かけた物置小屋を思い出し、急いで駆け出した。

忍らしからぬ足音で、一目散に外を目指す。

そして、煤の匂いが充満する薄暗い小屋に足を踏み入れ、埃に塗れながら一つ一つの物を手にとっていった。

『目指せゴッドフィンガー!』

違う。

『野生動物の躾方』

違う。

『生意気な女の泣かせ方』

違う!

『女王様飼育法』

違う!!

『くノ一調教大全・巻ノ参! 対医療忍者特集!!』

違うっ!!!

『未亡人は愛に餓えてます』

「・・・え〜、なになに?
 夫に先立たれ肉欲を持て余した女性は、常に刺激を求めているものです。
 日常では優しく紳士的に、でもベッドの中では狼になってあげましょう。
 ふ〜〜〜ん、なるほど。 そういうもんなのか・・・・・・・・・って違ぇよ!!」

ついつい手にとってしまった本を、絶叫と同時に埃の積もった床に叩き付けた。

空間に充満する淀んだ思念に、何時の間にか脳みそが汚染されそうになっていた。

「なにエロ本ばっかコレクションしてんだよ!!」

だって他に物がないんですもの。

見渡す限りエロ、エロ、エロ。

仮にも暗部の屋敷だというのに、術や暗号を記した巻物が一本も存在せず、成人雑誌やら大人の玩具ばかり出てくるのは如何なものか。

九妖さん。

あんた、忍の知識よりも性の知識の方が重要だと思ってませんか?

・・・・・・思ってますね?

・・・・・・思ってるんだろうなぁ。

「くっ!」

そんな人に振り回されて調査が進まないのだと思うと、情けなくて泣きそうになった。

シカマルは上を向く。

涙が零れないように、奥歯を噛み締めながら。

「・・・・・・?」

と、その時。

天井の張りの上に置かれた、50センチ四方の木箱が目に付いた。

「ふっ!」

シカマルは高く跳躍し、木箱を抱いて着地した。

箱は、結構な重さだった。

中身を確認するべく蓋を開けると、アルバムが大量に入っていた。

どれもこれも、日に焼けて本来の色が褪せてしまっている。

恐らくかなり古いものだ。

―九妖さんのか・・・。

シカマルはそう思いながらアルバムを捲り、

「ぶっ!?」

思いっきり咽た。

てっきりアルバムの持ち主は九妖で、そこに写っているのは少年時代の九妖だと予想していた。

なのに、シカマルの予想は外れも外れ。

全く以って見当違いの人物が視界に飛び込んで来た。

アルバムに収められた色褪せた写真の中、爽やかに歯を光らせている四代目。

本業のモデルと比べても引けを取らない・・・・・・必要以上のカメラ目線に関しては。

「・・・・・・・・・『コレ』が四代目?」

里では信仰の対象ですらある英雄、しかも友人の父親をよりにもよってコレ呼ばわり。

だが、それも仕方がない。

自分の思い描く四代目と今見ている四代目では、あまりにもギャップが激しすぎるのだ。

シカマルの父シカクの話によると、四代目という人物は次のように評される。

聡明で思慮深く、仁義礼節を重んじた善の模範。

才に溢れながらも決して才に驕らず、如何なる逆境においても不屈の精神で道を突き進んだ男。

まさに英雄となるために生まれてきた男だった。

と父は言っていたが、とてもそうは見えない。

どの写真を見ても、四代目はニコニコ笑っている。

聡明というより能天気、思慮深いというよりチャランポラン。

悩みなんかとは無縁のお気楽人間という印象を受ける。

―思い出を美化しすぎだろ、あのアホ親父。

シカマルは口から淀んだ空気を吐きつつ、アルバムを捲っていった。

「・・・・・・ん?」

アルバムが三冊目を数えた時だった。

シカマルはある写真を見つけ、ピタリと手を止めた。

気になったのは、四代目が15〜6の少女と一緒に写っている写真。

「んん?」

それをアルバムから抜き取り、角度を変えたりして穴が空く程観察する。

四代目に肩を抱かれた黒髪の少女は、恥ずかしそうに顔を伏せている。

だが、どことなく喜んでいるようにも見える。

不思議な事にシカマルは、その少女に見覚えがあった。

「・・・・・・・・・・・・」

記憶という記憶を検索。

「!!」

検索終了、該当する人物は1名。

「うちのおかんじゃねーか!!」

そう、シカマルの母ちゃんこと【奈良 ヨシノ】(36歳)の若かりし頃である。

「な、なな、なんで母ちゃんが・・・・・・!」

シカマルは嫌な予感がした。

この上なく嫌な予感が。

先にあるものを見てはいけないと、本能が告げている。

しかし、確認せずにはいられなかった。

シカマルはがくがくブルブルと振動する指先で、アルバムを捲った。

そこにあったものは・・・・・・。


「おか―――ん!!」


シカマルは泣いた。

そして走った。

自分の家を目指し、わき目も振らずに小屋を駆け出していった。

水色の空に、涙と鼻水を散りばめながら。









―カカシ―

「ハァハァ・・・堪んない」

ナルトの妨害を気合で掻い潜り屋敷に侵入したカカシ。

彼の行動は、法律や条令といった社会のルールに喧嘩を売っているとしか思えないようなものだった。

まず玄関先にて雪のヒールを発見し、迷わずGET。

放送禁止用語を連発して口汚く罵倒してきた家主を無視し、鼻歌など歌いつつ履いていた靴を脱ぎ捨てる。

家に上がり込んだところで、犬塚家に匹敵する程の嗅覚が風呂場の存在を感知。

流れるような動きで脱衣所へ突撃し、洗濯機の中を漁って黒い下着を上下ワンセット獲得。

現在それらのお宝を透明のビニールに入れ、シンナーを吸引するようにすぅはぁ堪能している。

邪魔が入らないように、わざわざ人気のない仏間に侵入して。

「・・・・・・・・・」

急に立ち上がったカカシが、キョロキョロ周囲を探り始める。

と、おもむろにポケットティッシュを取り出した。

「・・・・・・ごっつぁんです」

なにをご馳走になるつもりなのかは分からないが、合掌してズボンに手を掛ける。

コイツ、マジ最低である。

この際誰でもいいから、この男を止めてほしいものだ。

「止められない止まらない〜♪ ○っぱエビせん♪」

・・・・・・もう何も言うまい。

教え子の家でパンツ一丁になった変態は、自らの吐息で湿ったビニールの中に手を入れた。

オカズである下着を取り出し、丁寧に二つ折りにして畳に置く。

とそこで、正座して二拍一礼。

「準備完了」

余人には理解不能な儀式を終えたカカシは、下着に向かって顔から突っ込んだ。


「スパァ―――ク!!」


何かが極まったような表情で、ごろごろと畳の上を転げ回る。

勿論パンツ一丁で。


「キタァ! キタキタキタキタァぁアアぁ!!」


更に弾けるカカシ。

陸に打ち上げられた魚のように、ビチビチと体が仰け反る。

だが、調子に乗りすぎた。

ばたつかせていた足が、仏壇の淵に直撃。

それも敏感な小指をぶつけた。

「〜〜〜ッ!!! 〜〜〜!!!」

悲鳴にならない声を発し、亀になった状態で痙攣する。

メッチャ痛そうである。

だが、天罰・・・もとい、カカシの不幸は続く。

涙目になって悶えていたところに、衝撃でぐら付いた仏壇が倒れてきた。

「ぐぇっ!?」

体を圧迫する重量に、蛙みたいな声が出る。

でもまぁ、日頃鍛えているだけあって、下敷きにされても潰されるような事はなかった。

「くっ」

足の痛みの所為か、這い出るまでに多少手間取った。

「クソ・・・折角良い所だったのに」

ブツブツと文句を言いながら、仏壇を起こし散乱したものを元の位置に戻し始める。

さっさと終わらせて続きがやりたい。

そんな人として終わっている思考で作業を進めるカカシだった。

「!!?」

が、急に動きが止まった。

完全に固まっている。

カカシの手には、仏壇から散らばったものの中に混ざっていた写真立が握られている。

そして写真立の中には、恩師である四代目の在りし日の姿。

ナルトが三代目に頼み込んで、火影の執務室に飾られている写真を焼き増ししてもらったものである。

カカシが大事にしている写真とは正反対に、四代目はキリリと引き締まった表情で正面を見据えている。

そう、丁度カカシを睨みつけるように。

≪カカシ? お前は一体なにをしてやがるんだい?≫

自分の息子の家でパンツ一丁で転げ回っていた男にガン付けながら、四代目が言った。

・・・・・・・・・ように、元教え子は感じた。

無論写真が喋る筈もない。

これは雀の涙どころか原子程度の大きさしかない自分の良心が見せた幻聴だろう。

カカシはそう思いつつ、写真から露骨に視線を逸らした。









「痛ッ!!」

瞬間、首がグキッ!と音を立てた。

≪なに目をそらしてるんだい?
 人と話す時は相手の目を見て話せって教えたよね、オレ≫

幻聴だけかと思ったら、今度は幻覚まで見え始めた。

目の前に、メチャクチャリアルな幻が立っている。

しかも、どういうわけか実体があるじゃございませんか。

万力のような力で頭を引っ掴み、頭蓋を潰さんばかりの圧力を掛けている。

「せ、先生!?」

カカシは幻覚といえど尊敬していた、いや、今も尚尊敬している恩師に思わず涙腺が緩んだ。

「せんせぇ!!」

少年時代に戻ったカカシは、両手を広げて四代目の胸に飛び込んだ。

「ぶべらッ!?」

つもりだったが、横っ面を引っ叩かれて無様に倒れた。

めっさ痛い。

ビンタというよりは掌底だった。

≪なにパンツ一枚で向かってきてるのさ、気色悪い。
 オレに抱き着いていいのは女の子以外では息子達だけだ≫

汚物を見るような眼をしてペッと唾を吐く四代目。

正しい反応である。

なにも間違ってはいない。

裸同然の同性に迫られた時、正常な男なら逃げるか殴るかのどちらかである。

間違っても受け止めたりはしない。

「あの・・・身形についてはオレに非があると思いますが、流石にこの仕打ちはあんまりかと・・・」

どつかれた頬を擦りながら、四代目を見上げるカカシ。

狙ったわけではないが、膝が崩れているため飲んだくれの亭主に殴られた妻みたいな体勢になっている。

しかもパンツ一丁なので余計に気持ち悪い。

そんなわけでカカシは、知らず知らずの内に四代目の不興を買っていた。

≪オレは至ってノーマルだから、愛情を求められても迷惑だよ。
 まぁどうしてもって言うのなら、同じ趣向の人間を見つけて山奥かなにかでひっそりと生涯を終え事を薦めるよ≫

教え子を同性愛者と断定した四代目は、爽やかな笑みで拒絶を示しつつ今後の進路を示してあげた。

≪ま、それはそれとして。 お前、ここでなにやってたの?≫

突然鋭くなった眼光に射抜かれ、カカシの背中から脂汗が噴き出した。

「せ、先生・・・違うんです! こ、こここ、これには深い理由が・・・!!」

必死で取り繕うも、呂律が回らない。

≪ふ〜ん・・・。 それじゃあその理由とやらを話してごらん。
 他人の家に無理矢理侵入し下着泥棒の真似事をした挙句、自慰行為に勤しむ。
 そんな人生を舐め切っているとしか思えないような行動を取った理由とやらをね≫

「あ・・・うあ・・・」

≪『あうあ』じゃないよ。
 それとも『あうあ』でオレに全てを察しろとでも言ってるのかい?
 暫く見ない内に随分と偉くなったもんだね。 カカシの分際で≫

何か恨みでもあるのか、教え子を容赦なくこき下ろす四代目。

≪ああ〜やだやだ。
 昔も可愛くなかったけど、歳食ってからさらに可愛げがなくなったねお前。
 はぁ・・・やっぱり事故に見せ掛けて殺っとくべきだったかなぁ。 今更ながら自分の寛大さが憎いよ≫

どこからともなく取り出した煙草をふかしている四代目の表情は、本当に、本当に後悔しているようだった。

「あ、あの・・・すいません」

恐る恐る挙手をするカカシ。

≪ん〜?≫

だが、声を掛けても視線すら向けやがらない。

煙で輪を作るのに夢中である。

その冷た過ぎる態度に、カカシは昔の恩など忘れて殺意を抱いた。

口には出さないが、普段の己を省みる事なく『教え子に対してその態度はないでしょ?』とか考えている。

「先生煙草吸ってましたっけ?」

とりあえず湧き上がる欲求は我慢して、疑問を口にする。

≪お前達の前で吸わなかっただけだよ。
 仮にも指導する立場の人間だったんだし、教え子に悪影響な振る舞いを控えるのは当然でしょ≫

教育者として見事な答えが返って来た。

教え子の前でエロ小説を読んだりする男には耳が痛すぎる。

ついでに、遠回しに『お前なんざオレの生徒じゃね』と言われている事に傷付いた。

やがて、最初は遠慮していたカカシも、段々四代目の態度にムカついてきた。

≪まぁ常識の欠如してるうんこ教師、もというんこ忍者はたけカカシには分からない苦労だろうけどね≫

『はっはっはっ』と笑いながら、うんこ野郎に煙草の煙を吹き掛ける。

カカシは耳の奥底で、プツッという音を聞いた。

「つまりオレもオビトもリンも、先生の本当の姿を知らなかったんですね!
 はっはっはっ! いやぁ見事に騙されちゃったなぁオレ達! あー悲しい!!」

元々堪え性のない男は、理性のダムを自ら開け放ち、昔の恩を忘れて叫んだ。

だが罵倒された四代目は、『何言ってんだこいつ?』的な眼差しを向けながら首を傾げ、

≪? リンとオビトは知ってるよ?≫

などとのたまった。

「はっ?」

カカシの目が点になる。

時期を同じくして四代目の部下となった少年と少女。

互いに年齢もアカデミーを卒業した時期もバラバラだったが、掛け替えのない仲間だった。

常に衝突する同年代のカカシとオビトを、2人よりも幾つか年上のお姉さんだったリンがやんわりと嗜め、その様子を四代目が穏やかに見守っていた。

命の危機にさらされる任務中はそうはいかなかったが、演習などの時は忍の集団というよりもアットホームな家庭といった雰囲気を持つチームで、互いに隠し事もなかった。

・・・・・・筈だった。

「じゃあ、オレだけ仲間外れってこと?」

十年越しの真実に泣きそうになった。

≪まぁ口止めしたのはオレだけどね≫

笑いながら追い討ちを掛ける四代目。

昔とは打って変わって優しさの欠片もない。

「なんでそんなことしやがるんですか!?」

≪そもそも2人にバレたのは不可抗力だし。
 あんな事さえなかったら、ずっと教えるつもりはなかったよ≫

「あんな事って、なにがあったんですか?」

≪う〜んと、オビトはリンの事で相談された時だったかな。
 なんか好きなのに告白出来ないとか、なまっちょろい事ばっか抜かしてあまりにも煮え切らないもんだからさぁ≫

『ついカッとなって本性が出ちゃった』などと、懐かしそうに語る。

「じゃあリンは?」

≪リンかぁ・・・・・・リンの時はねぇ・・・・・・≫

急に顔を背けて、ポッと頬を赤らめた。


「うぉおい!! なにした!? あんた一体なにやったんだぁ!?」


目を血走らせて掴み掛かるカカシだが、どんなに揺さぶられても四代目の余裕の態度は崩れなかった。

≪なにってそりゃ夜の校舎でナニを・・・≫

「犯ったのね!? 犯りやがったのね!?」

≪夜なべして縫ったせーらー服で2回、ぶるまぁとスク水で3回つづ・・・≫

「聞きたくないよ!」

≪ちなみにシチュエーションはオレが教師でリンが≫

「言わなくていいって言ってるだろっ!」

≪木ノ葉の黄色い先公・・・ぷっ≫

「上手くもなんともないよ!」

カカシは完全に泣きが入っていた。

「あやまれ! リンにあやまれ!!!」

≪ええ〜〜〜、でも双方合意の上でだぞ?
 リンもすごく悦んで・・・じゃなかった喜んでたし。
 恥ずかしがってたのは序盤だけで、中盤になるともう自分から腰を「だまれぇえぇえええ!!」

涙の止まらない眼でかつての恩師、今の敵を見据え、拳に殺意を篭めて殴り掛かる。

しかし、一発残らず避けられる。

まさに余裕綽々。

当らないどころの話ではなく、掠りもしない。

例え幻であろうとも、木ノ葉の黄色い先公、もとい閃光は健在だった。

だが、一向に当たる気配がなくともカカシは拳を止めなかった。

一発でいいからコイツを殴らないと気がすまない。

≪あ、そうだ。
 今だから言うけど、リンがカカシを好きって言ってたのは実はフェイクだったんだよ?
 ○○に塗れながら『私は先生だけの(自主規制)です』だって。
 うんうん、我ながら本当に愛されてたと思うよ。
 あ、ごめん。 カカシってばもしかして、リンに好きって言われてちょっとその気になってた?≫


「ほっといてくれよ!!」


誠意の全く篭っていない謝罪は、より一層神経を逆撫でした。

憎しみのお陰なのか、カカシの速度は天井知らずに跳ね上がっている。

でも、元々のスペックが違い過ぎるので、やっぱり拳は当たらない。

≪ねぇねぇ、オレとリンは愛し合ってたわけだし、カカシに怒られる筋合いはないんじゃないのかな?≫

「リンが先生を愛していたとしても、オレはオビトの為にもあんたを殴る!!」

≪でも、ハメ撮りしたビデオあげたらすっごく喜んでんだけどなぁ。
 『先生! いや、今日から師匠と呼ばせて下さい! 一生着いていくっす!!』てな感じで」

「うそだ! オビトはそんな奴じゃない!!」

≪いや、ホントホント。
 そもそもオビトはリンじゃなくて、風俗のお姉さんに入れ上げてたし≫

その一言でカカシの動きがピタッと止まった。

≪リンの事相談されてカッとなった時、オレぼろくそに言っちゃってさぁ。
 それでオビトがあまりにもしょんぼりしてたから、元気付けてやろうと思って遊郭に・・・≫

―・・・行くなよそんなとこ。

さっきまでの怒りが嘘のように、心底げんなりした表情で肩を落とすカカシ。

≪ははは、それ以来オビトの奴すっかりプロの技にハマっちゃって≫

―そう言えば。

とカカシは、オビトが給料前になると妙にそわそわしていたのを思い出す。

前から遅刻癖のある奴だったが、給料日の翌日は以上に待ち時間が長かったような・・・。

―あの野郎・・・!

20年越しの友情に亀裂が入った瞬間であった。

んで、カカシの殺意が他所に向いたのを見て、四代目はやれやれと頭を振った。

≪まったく、フガクを筆頭にうちは一族の連中といい君といい。
 男で写輪眼持ってる奴は、必ずと言っていい程人格に欠陥を持つんだね。
 まともなのはイタチくらいのものじゃないか。
 まぁもっともイタチは当然だけどね。
 なんってったてオレとミコトの・・・ゲフン、ゲフン! ・・・まぁそれはおいとくとしてだ≫

「いま、聞き捨てならないことを言いませんでしたか?」

≪気のせいだから忘れなさい≫

「りょ、了解しました!」

笑顔に秘められた殺意を見抜き、カカシの首がガクガクと上下する。

≪まぁ誰かさんの所為で話が脱線したけど、オレが言いたかったのはさぁ・・・≫

急に声のトーンが落ち、周囲の温度が下がり始めた。

実際に気温が下がっているわけではないが、四代目の放つ重圧によってカカシにはそう感じられる。

≪カカシ。 これまでといい今日といい、オレの愛息子に対してなにしてくれてんのかなぁ?≫

怖い。

本気で怖い。

どんな言葉を用いても、この恐怖は表せない。

少なくとも九尾と対峙した時と同等か、それ以上プレッシャーを叩き付けてくる四代目。

≪ナルトはさぁ・・・オレの掛け替えのない宝なんだよね。
 強くて、真っ直ぐで、努力家で・・・・・・何よりも優しい、とてもいい子なんだよね≫

その恐怖が和らぐのは、ナルトの事を語っている時だけだった。

≪それにあの子は、オレみたいな男を父親だって言ってくれるんだ。
 時間のある時は必ず仏壇に花を添えてくれて、お供え物も上げてくれる。
 こんなどうしようもない里(ゴミ)を護る為に、妖魔の入れ物にしたオレにだよ?
 憎んで当然なのに・・・・・・恨んで当然なのに・・・。
 『勝手に器にしたのは怒ってる、せめて一言断ってからやってほしかった』、て言って許してくれたんだ≫

優しい雰囲気はここまでだった。

≪なのに、カカシィ・・・。 お前ときたらさぁ≫

「ひぃっ!!!」

四代目の手の平に、轟々とチャクラが渦巻く。

でかい。

直径1mはあろうかという特大の螺旋丸。

≪大きいでしょ? お前に対するオレの怒りは、これの100倍はあると思ったらいいよ≫

窓際に追い詰めたカカシに、四代目がニッコリと微笑んだ。

≪もし生きていられたら、生活態度を改めるようにね≫

「・・・・・・の」

≪じゃあ、バイバイ≫

「のぉおぉおおおぉおぉおお!!!」

カカシは星となって空を流れ、里の市街地に降ったという。









―居間―

テレビを見ていたナルトとシノは、三重に響きあう悲鳴を聞いた。

「・・・・・・なんだ今の雄叫びは」

「世の中には、知らない方が幸せなこともあるってこった」

眉を曲げるシノと、どこか遠くを見詰めるナルト。

「そういうものか?」

「ああ。 そういうもんだ」

2人は顔を見合わせた後、のんびりとお茶を啜るのだった。









キャラプロフィールD



【ツクモ】 0歳

・誕生日 6月6日

・身長 143cm 体重 33kg 血液型 B型

・性格 単純、無邪気、ファザコン

・好きなもの 両親(特に父親)と家族、野生動物

・嫌いなもの 妄想している時の両親及び家族の表情

・戦ってみたい相手 ナルト

・好きな言葉 友達100人

・趣味 探検という名の散歩



突如うずまき家に誕生したナルトに良く似た少女。

まぁ良く似ているというか、正真正銘ナルトの娘である。

玉藻曰く、『主との愛の結晶』だそうだ。

生後僅か一ヶ月にも拘わらず、肉体的にも精神的にも発達しすぎており、色々と納得し難い摩訶不思議な存在。

しかし納得出来ていないのは父親(ナルト)だけであり、周囲(うずまき一家)は脳裏に浮かぶ疑問点を軽く無視しつつ、無邪気な九十九に有らん限りの愛情を注ぐ。

ただ注がれる愛情が濃厚すぎるので、九十九的にはちょっとウザかったりもする。

どちらかといえば他ではなく父上に構ってもらいたいのだが、父上は割と放任主義な為少々不満。

ちなみに、名前の由来は誕生日で、

6月6日 ⇒ 66 ⇒ 99 ⇒ 九十九 ⇒ ツクモ

と、こんな感じである。



【河矢久】 九尾襲来当時26歳 (原作はまだ不明) 

言わずと知れた四代目火影であり、ナルトの実の親父。

ナルト・自来也と同じく典型的な女の敵。

その上、性格がナルトよりも遥かにエグイ。

ナルトの女好きと二重人格はある意味遺伝。

子が親に似たのか親が子に似たのかは判らないが、諸悪の根源は言うまでもなく彼の師匠にあると思われる。

今でこそ英雄として奉られているものの、実物を拝めば甘い幻想など木っ端微塵に砕け散ってしまうだろう。

んな有様だったクセによくもまぁ英雄なんぞと呼ばれるようになったものではあるが、外面の良さと人々の思い出が美化された結果だと思われる。

本人的には火影に就任して職権濫用の限りを尽くす予定だったものの、すぐに例の事件が起こった為そのロクでもない野望は露と消えた。

一応死亡した事になっているが、ひょっとすると現在も何処かで生きていて、S犯罪者ばかりが集まった怪しげな組織の首領をやっているかもしれない。

今回カカシの前に現れたのは幽霊かもしれないし、実は密かに生き延びてナルトのストーキングをしていた本人かもしれない。

が、今のところは謎。



【うちは フガク】 享年40歳

サスケの親父。

うちは一族の中でも特に有能な忍で、後に木ノ葉警務部隊の隊長の座まで上り詰めた。

しかし、火影就任前の河矢久に散々振り回されたとってもとっても気の毒な人。

サスケがナルトに振り回されるのは、多分生まれる以前からの宿命なのだろう。

ちなみに、生前のフガクはイタチを誉める時決まって『流石オレの子だ』と言っていたが、イタチはそのたんびに『違います』と言い返したくて堪らなかったらしい。



【うちは ミコト】 享年35歳

イタチとサスケの母ちゃん。

一見清楚でおしとやかに見えるがそんな事はなく、若い頃にはミツグ君やらアッシー君が掃いて捨てる程居てイケ×2な女性だった。

パッと見可憐な容姿に鼻の下を伸ばし床に誘い込まれたが最期、筆舌に尽くし難い床技で骨抜きにされ、稼ぎの殆どを献上する破目になった男はれず。

・・・という具合にワンタッチ=ワンキルの寝技で連勝街道を驀進、最盛期には【木ノ葉の黒い薔薇】と称されるに至った。

まぁその辺で止めときゃよかったのだが、人の欲望というのは際限がないものだ。

ミコトは更にブルジョワジーな生活を満喫すべく、木ノ葉でもダントツの稼ぎ頭だった河矢久に目を着ける。

そして風俗店の入り口で、『むふふ、今日はどの子にしようかなぁ♪』とニタついていた河矢久に声を掛けた。

んで、あっさりと誘いに乗ってきたカモをホテルに誘い込んだのだが、全く歯が立たず小一時間程であえなく返り討ちとなる。

完敗、惨敗、骨抜きにする筈が骨抜きにされた・・・・・・・・・挿れられたのに抜かれた。

かくして生涯最初で最後の負けを喫したミコトは、その日の内に【木ノ葉の黒い薔薇】の名を返上し、梅雨の日陰に放置されたバケツに涌くボーフラのようにひしめいていたミツグ君の中から、『まぁコレでいんじゃねぇ?』と飲み会のツマミを買い物かごに放り込むような感覚でフガクをチョイスし、以後はどこにでもいるような主婦として平々凡々な日々を満喫した。



【奈良 ヨシノ】 36歳

シカマルの母ちゃん。

主婦であると同時に里の中忍でもある。

女性ながら大層気が強く、息子と夫の躾に一切の手抜かりはない。

河矢久とは家が近所だった事もあり、小さい頃はちょくちょく遊んでもらっていた。

その為、ヨシノは親しみを込めて『お兄ちゃん』と呼んでいた。

河矢久も幼年時代は特に気に留めていなかったが、思春期に突入した頃から担当上忍の悪影響で、『お兄ちゃん』という単語に卑猥なものを感じるようになり、度々良からぬ妄想に浸っていた。







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