NARUTO
〜九妖忍法帳〜 30話目




―屋台―

騒音でごった返す歓楽街から外れた、少し人通りの寂しい場所。

道の隅に止められた車輪の付いた小屋に、赤い暖簾がぶら下っている。

1人になりたくておでん屋に訪れたナルトだったが、そのささやかな願いは叶わなかった。

右手に紅が、左手にシズネが、ナルトを挟んで古ぼけた椅子に腰掛けている。

男ならば誰もが羨む光景である。

しかし、本人は優越感に浸るどころか、憂鬱を絵に描いたような顔をしていた。

「女性の胸ってゆーのはぁ、大きけりゃイイってもんじゃないでしょうがぁ!!」

酔っ払ってクダを巻くシズネが、ダン!とコップの底を乱暴に叩き付けた。

完全に据わってしまった両目は、何故かナルトに向いている。

「あんな風船みたいなデカパイのどこがいいんだか・・・・・・世の男共は見る目がないんですよ!!」

「・・・はぁ・・・・・・でもまぁ大は小を兼ね「(ギロッ!)」・・・いえ、何でもありませんですハイ」

余計な一言を口にしたが為に、親の敵のように睨まれ曖昧な返事を返すのが精一杯だ。

シズネは一升瓶を傾け、新たに注ぎ足した酒を味わう間もなく飲み干した。

「どーせ・・・どーせ私はぺチャパイですよ・・・」

(・・・ギリギリでCカップありそうだらか、別に気にする程小せぇって事もないんだがなぁ・・・)

服を着ていると分かり辛いが、シズネは別にぺチャパイという訳ではない。

「きっと私を付き人に選んだのも、より自分の胸を際立たせる為なんです・・・」

かなりの被害妄想であるが、綱手と出歩けば常に比較の対象にされてしまう。

男達は綱手の胸を見た後、必ずと言って良い程自分の胸に視線をやるのである。

「比較する対象が悪いだけですって」

「毎日コツコツ努力してるのに、どうして大きくならないの・・・君達・・・?」

ナルトの言葉は聞こえていないようだ。

恨めしそうな目付きで、自分の胸を揉みしだいている。

ちなみにこれは毎日の日課である。

しかし、成果は思うように上がらず、涙を呑む毎日。

例え優秀な医療忍者であっても、こればっかりはどうにもならかった。

「やれば出来る子なんだから、もう少し頑張って・・・・・・ね?」

「・・・・・・シズネ・・・植物じゃないんだから」

「お宅のお子さん達は、成長が著しくて結構でございますね」

思わず突っ込みを入れた紅の胸元に、殺気にも似た邪気を浴びせる。

シズネにとってDカップから上は敵でしかない。

「大きいのも色々大変なのよ? 動き辛いし肩も凝るし」

髪をかき上げつつ紅が言った。

悪気があるわけではないが、非常によろしくない言動だ。

「よくもまぁヌケヌケと・・・! ・・・それは余裕? 勝者の余裕ってやつ?
 それとも『文句があるならまず地球の重力を感じてからにしやがれ』とでも言いたいのでしょうか?」

「だ、誰もそんな事は言ってないでしょ」

「口に出して言ってないだけでしょ」

シズネはギリギリと歯を鳴らし、仕舞いにはムスっと頬を膨らませる。

そして酒を煽る勢いがさらに増した。

文字通り浴びるように飲んでいる。

「・・・・・・神様は不公平です」

やがてアルコールが回り始め、目元が蕩けてきた。

何処を見ているのか本人にも分かっていない。

「私には何にもくれないクセに、綱手様には忌々しいデカパイだけでなく美少年まで・・・。
 今頃どこかのホテルで乳繰り合ってるんだ・・・・・・うぅ綱手様のバカぁ! 年増ぁ! シリコンッ!」

思考力が低下している割に、愚痴の内容はやけに具体的だった。

酒の勢いで適当に言っているだけなのか、日頃から密かにそう思っているのかは謎である。

ナルトと紅はどう返していいやら判らず、何とも形容し難い顔になった。

「華の十代・・・・・・恋もこれからという青春時代・・・・・・。
 ぐすっ・・・・・・それを投げ打ってまで・・・お仕えしてきたのにぃ・・・・・・」

困り果てている2人など気にせず、シズネはとうとう泣き出した。

テーブルに突っ伏してシクシクと鼻を鳴らす。

かと思ったら急に顔を上げ、頭突きかと錯覚する勢いでナルトに迫った。

「これってそんなに高望みなんですか!? 私はただ、揺れる胸とステキな男性が欲しいだけなのにッ!!」

「落ち着いて・・・まず落ち着いて下さい」

シズネの顔にビビッたのは内緒にしておき、首に掛けていた手拭でそっと目元を拭ってやる。

さらに鼻まで噛ませたり、甲斐甲斐しく世話を焼いた。

「シズネさんなら男の1人や2人すぐに出来ますって」

「・・・・・・ホントにそう思います?」

「はい。 今まではホラ、各地を転々としてたからですよ」

親が子供に言い聞かせているような、緩やかな空間が出来上がった。

火の粉が自分に飛ばないよう黙々と仕込みに徹していた店主も、心の中でナルトに感謝しホッとした表情を浮かべている。

面白くないのは紅だった。

当初の予定では、九妖と2人っきりで何処かのホテルに入り・・・まぁ・・・その・・・・・・にゃんにゃんするつもりだった。

ところが、シズネが半ば強引に着いて来た上に、自分を差し置いて構ってもらっている。

―シズネェ〜! 私の旦那様にくっ付くんじゃないわよ!! 

紅は浴衣の裾を噛んで悔しがった。

不穏な空気がトグロを巻いているが、シズネは気付く素振りも見せない。

ナルトは背中に嫌な気配を感じながらも、親身になって相談に乗っている。

「・・・・・・でもやっぱり胸が・・・」

「う〜ん・・・・・・・・・大きければいいってものでもないんですがね」

「え? そうなんですか?」

「形 ・ 色 ・ 艶 ・ 張り ・ 弾力 ・ 感度 ・ ボディラインとのバランス。
 様々な要素とのコラボレーションが、一つのオッパイを作り上げるんです。
 ただ単に大きさだけで優劣を語れるような、そんな甘いものじゃあないんですよ」

キョトンとしているシズネの目を見据え、熱弁を振るうオッパイ星人。

一切の妥協を許さない厳しい姿勢は、最早職人のそれを感じさせる。

外人のような派手なボディランゲージを用い、あーだこーだと情熱的に語り続けた。

乳は奥が深いのだ。

舐めるのは許してやるが嘗めるのは許さない。

シズネだけでなく店主までもが大きく頷いていた。

「それでもまだ大きくしたいんだったら、まず牛乳を飲む事から始めるべきですね」

「牛乳下さい」

聞くや否や即ラッパ飲み。

一瞬で空になった一升瓶がおでん屋の主に突き出された。

「ぎゅ、牛乳ですか・・・?」

店主は困った顔をする。

普通の人ならば当然の反応だ。

責められる筋などない。

ここはおでん屋である。

牛乳なんてものが置いてあるわきゃない。

だが道理を説いたところで、大人しく引き下がってくれるような相手じゃない。

それは一目瞭然だった。

『無茶言っちゃ困りますよお客さん』 などと言おうものならば、袖口からちらつかせている毒針で首筋をプスリ。

イチコロである。

「・・・・・・・・・あ、生憎切らして・・・ひィ!?」

「ない・・・と言うつもりですか?」

シズネの眉間に皺が寄った。

『それで済まされると思ってるのか?』 という物騒な副声音が、前髪から覗く両眼から伝わってくる。

店主としては十分に言葉を選んだつもりだった。

けれど、放たれる重圧は和らぐどころか、店主の心臓を握り潰す程膨れ上がる。

「あわわわっ!」

恐怖のあまり、陸に打ち上げられた魚の様に口をパクパクさせる。

まだ死にたくない。

家で優しい妻と3歳になる娘が、自分の帰りを待ってくれている。

愛する家族の為にもこんな所で死ぬわけにはいかない。

「す、す、す! すぐに買って来ますッ!!」

店主は店をほったらかしにして、必死の形相で走って行った。









「他にはどんな方法が?」

「まぁ・・・誰かに揉んでもらうとか」

ナルトがチラリと紅に視線を向けた。

「あれから、また大きくなっちゃった・・・♪」

紅が頬を染めてそっぽを向く。

シズネにしてみれば羨まし過ぎる一言だ。

「ぬぁんですってぇ!?」

過剰な反応を見せ、台を叩きながら立ち上がった。

「一体全体どんな裏技を使ったんですか!?」

「ぐぇっ!!」

ナルトは胸倉を引っ掴まれ、ガクガクと揺さぶられた。

「言いなさい! 今すぐ言いなさい!! 包み隠さず!! 隠すとためになりませんよ!?」

「か、隠すもなにも・・・・・・」

何故赤の他人に、愛の営みの様子を事細かに報告をしなければならないのだろう。

理不尽な要求に屈服したくはないのだが、今は一刻も早く酸素を取り入れたい。

このままだとマジに死んでしまう。

「・・・ふ・・・普通に揉ませていただいただけです」

締め上げられた襟によって気道が塞がれている為、掠れた声が響いた。

「嘘おっしゃい!!」

「ちょ・・・ぐるじぃ・・・」

「放しなさいシズネ! 本当に死んでしまうわ!」

「この人の持つ秘伝豊胸術を伝授すると、そう約束するならばすぐに開放して差し上げましょう」

シズネにとっては喉から手が出る技術だが、そんなものはナルトにしてみれば別に秘伝でも何でもない。

「・・・言いまず・・・・・・言いまずがら・・・!」

そして命と引き換えに守るようなものでもないので、驚く程あっさりとギブアップした。

シズネは約束通り開放したものの、コキコキと指を鳴らしながら豊胸術の口伝を催促する。

「私は約束を守りました。 さぁ次はあなたの番です」

「え〜・・・その〜・・・まぁ・・・・・・アレです」

改まって言うと少々気恥ずかしいものがあった。

「アレじゃ解りません」

「・・・・・・シズネさん、ちょっと・・・」

ナルトが手を招く。

訝しげな顔で近付いて来たシズネに、声を抑えて耳打ちする。

シズネは暫しの間神妙に頷いていたが、後半になってくると顔から火が出そうになった。

話しているナルトもちょっと頬が紅い。

2人のやり取りを黙って見ていた紅も、酔っ払ったように真っ赤になっていた。

とりあえず豊胸術の口伝自体は4〜5分程度で終わった。

が、その後何故か、紅との関係についても洗いざらい暴露する羽目になった。

「・・・・・・2人がそこまでタダれた関係だったなんて・・・」

「余計なお世話よ」

「ええ、全くです」

3人ともまだ頬が上気している。

「まぁそれはおいといて・・・・・・宿に戻ったらさっそく試してみます」

シズネはウキウキしながら言った。

待ち望んだ物は目と鼻の先にあるのだ。

自然と足取りも軽くなる。

「・・・・・・あの・・・何をしてるんでしょうか?」

ナルトは何故か、襟首を掴まれズルズル引き摺られていた。

「あなたこそ何を言ってるんですか? さっさと宿に戻りますよ」

「「はぁ!?」」

すまし顔のシズネとは正反対に、あんぐりと口を空けるナルトと紅。

「ちょ、僕がやるんですか!?」

「他に誰が居るって言うんです?」

「・・・・・・・・・綱手さ「死んでも嫌です」

「・・・・・・白「鬼ババァに誘拐されてます」

「・・・旧家「あんな酔っ払い共に身を委ねろと?」

抗議の声を片っ端から斬り捨て、どんどん屋台から遠ざかって行く。

「ししょ「そんな危険なマネ出来ません」・・・ごもっともで」

元祖オッパイマスターもお呼びではない。

腕は確かかも知れないが、見返りに何を要求されるのやら。

自分で言っておきながら、ナルトも妙に納得してしまった。

「じゃあ・・・・・・・・・アス「殺しますよ」・・・ゴメンなさい」

最後のは論外である。

ぶつけられる殺意は純度100%、混じりっ気なしの本物だった。

身の危険を感じたナルトは、大人しく連行されるしかなかった。

「待ちなさいシズネ!!」

大声を上げて行く手を阻んだのは紅だった。

「九妖は私と・・・・・・ゴニョゴニョするんだから!!」

「紅、邪魔をする気ですか?」

「当たり前でしょうが!!」

「私の夢を潰してまで優越感に浸りたいのでしょうか?」

「頼む相手が間違ってるって言ってるのよ!」

2人の睨み合いが始まる。

殺気が交差し、空間と屋台が軋む。

「中年親父の脂ぎった手で揉まれるより、若い男の手に揉まれた方が育ちも良いでしょう?」

「・・・・・育ちはいいかも知れんが、年齢的にワンカップ上げるのが限界だと思うんだが・・・」

無意識の内にポロっと零れた一言に目を見開くシズネ。

瞳に映る感情は驚愕、そして歓喜。

「デーカップ!? デーカップに手が届くんですか!? ウソじゃないでしょうね!!?」

「は、はい、可能です。 って・・・な、何してるんですか・・・?」

ガバッ! と懐が開き、ナルトは腰を抜かしそうになった。

「揉みなさい」

真顔で迫られ、引き攣った笑みが浮かんだ。

周囲に人が居ない事だけが、唯一の救いだった。

「いや、揉みなさいって言われても」

「さぁ早く」

「あ「は・や・く」

「で、では・・・お言葉に甘えて」

欲望に逆らう事が出来ず促されるまま手を伸ばす。

本人は気付いてないが少し嬉しそうだ。

「・・・・・・九妖?」

悪夢のように冷たい声にナルトの動きが凍結した。

抓られた腕がミチミチっと嫌な音を立てた。

紅の指先に集められた肉が、あと一踏ん張りすればもげそうなところまで来ている。

「痛ッ!」

だが、横合いから紅の手がぺシリと叩き落とされた。

「放して頂けます? 私の為にある大事な体なので」

叩かれた手を擦りながら目を向けた先に、勝ち誇った笑顔があった。

「あんた・・・・・・とことん喧嘩を売りたいようね」

「まさか。 今あなた如きに構ってる暇はありません」

「・・・・・・・・・どうやら死にたいらしいわね」

凄まじい歯軋りが聞こえる。

しかしシズネは、両目を吊り上げた紅をあろう事か鼻で笑った。

「こ、このアマ・・・!」

「なんですかオバサン」

2人を中心に、烈風を伴って迸る禍々しいチャクラ。

電線で羽を休めていた鳥達が、夜空に向かって我先にと飛び立つ。

2人から放たれるプレッシャーは、周囲の塀や電柱といった命無き物達まで怯えさせる。

ナルトも屋台と一緒になってガタガタ震えていた。

―い、今のうちに・・・。

出来る限り身を低くして、こそ泥のように逃げ出そうとした。

だが、

「何処に行くんですか?」

「怖がらなくてもすぐに終わらせるわ」

そう簡単には見逃してもらえなかった。

「さ、サーイェッサー!!」

敬礼の後に直立不動で待機するナルト。

身動き出来ない状態なのに、目の前でシズネと紅が派手な爆発音やら金属音やらを響かせている。

しかも稀にとはいえ、外れたクナイや手裏剣が飛んで来る。

これはもう新手のイジメではないのかと、胸に過ぎる不安を拭いきれない。

ただ一瞬だけ、

―放置プレイ?

と思ったのは内緒であった。









30分程経過して、紅とシズネの攻防が一時鳴りを潜めた。

「はぁ・・・はぁ・・・・・・シズネ・・・・・・ちょっとタイム」

「・・・い・・・いいでしょう」

2人とも大分息が上がっている。

―・・・・・・お、終わったのか?

ついでにナルトも。

呆然と見ていただけだが、流れ弾が幾度も顔を掠めた為、精神的に疲労したのだ。

「・・・ねぇ、取引しない?」

チラッと姿勢を保ったままのナルトを見やり、紅はシズネとの距離を縮めて小さな声で囁いた。

「取引?」

シズネは不審に思いながらも耳を傾ける。

「ええ、このままじゃ埒が明かないでしょ。 ここはお互い譲歩するって事で手を打たない?」

「・・・・・・・・・・・・いいでしょう。 この調子で朝になってしまったら元も子もありませんし」

暫し考えを巡らせて頷いた。

にんまりと2人の顔に浮かぶ腹黒い笑み。

―・・・何だ? ・・・急に寒気が。

会話の内容は聞き取れなかったが、ナルトは冷たい汗を流した。

「「ムフッ♪」」

紅とシズネが同時に振り向く。

特上の笑顔だったが、ナルトは強烈な悪寒に見舞われた。

「九妖♪」

紅が手招きをする。

今までの経験上碌な展開になった験しがない。

何の前触れも無く突如職員室に呼び出しを喰らった小学生のような足取りで、顔を伏せながらビクビクと応じるナルト。

極端に腰が引け、一歩一歩がとてもゆっくりだった。

「早くしてくださいね♪」

シズネが可愛らしく小首を傾げて催促しているが、今は何故か小悪魔に見えた。

何かされては堪らないので、即座に側に行き跪いて次の言葉を待つ。

まるで死刑を言い渡される囚人のような心境だった。

「紅と2人で相談したんですけどぉ・・・」

モジモジするシズネから、一体どんな言葉が飛び出すのだろうか?

ナルトがゴクリと生唾を呑む。

シズネが紅に目配せをすると、紅は続きを引き継いでこう告げた。

「2人で仲良く・・・・・・・・・半分こする事にしたの♪」

『キャ♪』 とか言いながら、告白した少女のように両手で真っ赤な顔を覆うくノ一2人。

「・・・・・・・・・・・・」

言葉が出ない。

別に3Pだろうが4Pだろうが、それは構わない。

寧ろ大歓迎だ。

任○堂64は4Pだが、俺なら一度に倍の人数・・・最大8Pまでなら逝ける・・・やった事はないが多分逝けると思う。

でも少し待ってみようか?

いつも思うんだが俺の意思は?

意見は? てか発言権は?

何故に決定事項のみを突き付けられねばならん?

即断即決は嫌いじゃないが、毎回俺だけが割り食ってるってのはどうよ?

お陰さまで心労がかさみ過ぎて、一時期胃薬が手放せなかったって知ってる?

妖魔のチャクラもストレスとかには効かないんだぞ?

唯一癒してくれてた控えめな女の子も、どこぞのバカ共の影響で最近黒々と染まってきてるし。

そんなに俺を追い詰めて楽しいですか?

ねぇ神様・・・そろそろ暴動起こしても良いですか?

とまぁ色々と言いたい事と解らない事だらけだが、とりあえず聞いておかねばならない事が一つだけある。

以上の思考を0,03秒で処理したナルトは、脱力と悲哀と哀愁が8:1:1の微妙な割合で混った何とも言えない表情で、

「・・・・・・・・・あの、拒否権は・・・」

と言ってみた。

「「ナシ♪」」

溜息を吐く間もなく、浴衣の襟を引っ掴まれていた。

今度は2人掛りである。

抵抗する気力はとうに失せ、なすがままにされている。

夜空に浮かんだ三日月が、ズルズルと響く布擦れの音を聞いていた。









―翌日―

旅支度を整えた木ノ葉の一行が、互いに別れの挨拶を交わしていた。

「おえぇ・・・気分悪ぃ」

「あ、頭がガンガンする」

「あの程度の酒で・・・だらしがないねー」

綱手は悪態をつきながらも、二日酔いに苦しんでいる面々に薬を渡している。

昨夜は負けず劣らずの量を飲んでいた筈だが、顔色は冴えに冴えたものだ。

肌全体が眩しい程に艶々している。

「道中気を付けてな」

やがて妖しく目を細め、白に意味ありげな視線を送った。

「・・・・・・・・・お気遣いどうも・・・・・・」

白は高揚のない声で呟くのがやっとだった。

精気を根こそぎ奪われたように、両頬がこけて血色の悪い顔をしていた。

立っているのがやっとの様子で、背後にどんよりとした影が見える。

昨夜彼の身に何が起こったのだろうか?

それを知るのは白と綱手だけである。

「あら? シズネはどうしたのかしら?」

紅はチャージ満タンで活力に満ちた顔だった。

肌のテカリ具合は綱手に勝るとも劣らない。

「ああ、シズネならまだ寝てるよ・・・あの子も酒が残ってるんじゃないのかい?」

「はしゃぎすぎて腰でも抜けたかのぉ。 ・・・・・・な?」

含みのある顔でナルトに話し掛ける自来也。

「さ、さぁ・・・」

師はネタ帳が分厚くなってご満悦の様子だが、弟子の方は明後日の方角を向いて滝のような汗を流していた。

だが1人だけ気不味いナルトに構わず、他の面々は木ノ葉を目指し歩き始めた。

白はそそくさと背を向け、綱手から逃げるように歩き出した。

綱手は小さく丸まった背中を眺めながら、妖しい笑みを浮かべていた。

かくして伝説の三忍による珍事は幕を降ろし、旅館には再び平和が訪れた。

だが旅館の女将が胸を撫で下ろしたのも束の間。

この四日後、松の湯の押入れの中から、干からびる寸前のアスマが発見された。

はた迷惑な忍者達の置き土産の為に、旅館はまたしても悲鳴に包まれたとか包まれなかったとか・・・・・・。

そしてこれは余談だが、この事件の数ヶ月後、暗部第九班の執務室・・・九妖宛に一通の手紙が届く。

差出人は明記されていなかったが、手紙には一枚の写真が同封されていた。

写真には満面の笑みでピースサインを作るシズネが映っていて、その胸には以前よりも大きな膨らみがあったらしい。









キャラプロフィールB



【桃地 再不斬】27歳(原作は26)

元霧隠れの暗部で、サイレントキリングの達人。

かつて【霧の忍刀七人衆】に数えられ、【鬼人 再不斬】の名を各国に轟かせている凄腕でもある。

だが、私生活においては部下の白に全く頭が上がらないダメ男。

見た目は悪鬼のようだが、意外と繊細な心の持ち主。

ナルトと白に気絶させられ、郵送でうずまき家に配達される。

雪とは過去に因縁がある。



【白】15歳

再不斬の右腕として、常に傍らに付き従う少年。

卓越した頭脳と驚異的なスピードが持ち味。

彼オリジナルの片手の印や血継限界による秘術を駆使し、若年ながら上忍にも迫る実力を備えている。

さらに炊事洗濯に関してはそこら辺の主婦を遥かに超え、僅か15歳にして小姑の域にまで達している。

相手が再不斬だろうが、妥協は一切許さない。

だが高すぎる家事能力と容姿が災いし、過去何度も男女両方から告白され、自分にコンプレックスを持つ。

旅先で綱手に気に入られてしまい、幸か不幸か童貞を喪失する。



【綱手】52歳

初代火影の孫 ・ 三忍の紅一点 ・ 最強のくノ一 ・ 伝説の医療忍者・・・・・・そして伝説のカモ。

数々の異名と伝説を持つ女傑。

賭場に足を運んではしょっちゅうカモられている。

積もり積もった借金はうん十億にも上るが、返す気がさらさらないので気にしていない。

短気で豪放な性格なので、周囲の者・・・特に付き人のシズネは度々迷惑をこうむっている。

ちなみにショタコンの疑い有り。



【シズネ】27歳

綱手の義理の姪であり、付き人を務める上忍。

里を抜ける以前は、木ノ葉の医療班に所属していた。

綱手の育てた医療忍者の中でも、その才能はずば抜けて高い。

華の十代を棒に振った所為か、二十代後半にして思春期の最中に居る。

ついでに、里を抜けたが為に恋愛が出来なかった事を、密かに根に持っていたりもする。

ナルトに食べられるが、酔っていたので半分も覚えていない。



【奈良 シカク】37歳

奈良家の当主。

ベテランの上忍だが、現在も第一線で活躍している。

若手から上層部に至るまで、多くの者達から一目置かれる存在。

里内でも強い発言力を持つ。

しかし一度自宅に戻ると、その発言力も無いに等しい。

四代目の後輩であり、ナルトの事を何かと気に掛けている。

外見とは裏腹に親切なおじさんである。



【山中 いのいち】37歳

山中家の当主。

上忍として任務に就く傍ら、実家で花屋を営む。

薬草から毒草に至るまで、幅広い品揃えで多くの忍に重宝される店だが、実はただの道楽で経営している。

適当な経営の割りに収益が上がるので、上忍を辞めて本業にしようかと真剣に検討中。

ヒアシに匹敵する親バカ。

ただしタイプは全くの正反対で、頼まれてもいないのに娘の婿探しに命を掛けている。

シカクと同じく四代目の後輩で、ナルトには暖かく接している。

最近娘の帰りが遅いのでかなり心配。



【秋道 チョウザ】37歳

秋道家の当主。

温和な外見と優しい性格で、木ノ葉の住民に親しまれている上忍。

特に飲食店にとっては福の神のような存在。

しかし、ある一部の店にとっては疫病神でしかない。

一度訪れただけで、出入り禁止になった店も多数ある。

彼もまた四代目の後輩であり、ナルトを息子のように可愛がっている。

デブと言うと切れるので注意が必要。



【油女 シビ】38歳

油女家の当主。

一族の秘伝を用い、戦闘 ・ 追尾 ・ 諜報 ・ 医療・・・・・・と様々な分野で功績を上げ、里の上忍の中でも高い評価を得ている。

極めて口数が少なく滅多に表情を変ない為、意味もなく周囲に威圧感を与える困った人でもある。

他の当主達と同様に四代目の後輩であり、大戦中は幾度となく死線を共にした。

【四代目の息子】、【息子の級友】という事を抜きに、個人的にナルトを気に入っている。

以前、本人の許可を取らず勝手に養子縁組を進め、妻にバレてナルトの家まで菓子折りを持って行かされた。

一体何を考えての行動だったのかは、本人以外は誰にも分からない。

偶に口を開いては毒を吐き散らしているが、基本的には良い人。



【犬塚 ツメ】35歳

犬塚家の当主。

特別上忍として、忍犬 ・ 忍犬使い、さらに獣医の育成に力を注いでいる。

当主達の中では唯一の特別上忍だが、能力的には上忍に引けを取らない。

上忍になれなかった理由は、選抜試験を寝過ごした所為だとか・・・。

偶の休日を利用して、相棒の黒丸と共に各地の愛犬コンテストを荒らすはた迷惑な人。

過去に面白半分でバター犬を育成しようとしたが、一族総出で反対された為已む無く断念した。

同じく四代目の後輩で、ナルトを蔑む里人を嫌悪している。

気性は荒いが、裏表のないサッパリした女性。







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