NARUTO
〜九妖忍法帳〜 28話目
―夜―
狐の面 ・ 黒い忍装束 ・ 白いコート。
木ノ葉を根城にする正体不明の暗部・・・・・・受けた依頼はほぼ100%完遂する凄腕。
その暗部の正装がこれだ。
今日、その正装を身に纏った最強の暗部に、命を狙われた五大国一の不幸者が居た。
不幸者の名は自来也。
彼はまだ自分が狙われていると気付いておらず、愛用の望遠鏡を手に鼻の下を伸ばしていた。
暗部は夜の闇に紛れ、音も無く気配も無く、唐突に現れた。
「・・・・・・・・・」
そして取材と称した犯罪行為に熱中する自来也に忍び寄り、
「でへへへへへへ♪」
「・・・・・・・・・・・・ムンッ!!」
「!!!!」
レンズの正面から思いっ切り掌底を叩き込んだ。
「〜〜〜ッ!! 〜〜〜ッッ!!」
思い掛けない激痛にのた打ち回る伝説の忍。
目元に浮かんだ赤痣が大層痛々しい。
「ググッ・・・・・・おのれ不意打ちとは卑怯千蛮!」
だが流石に数々の伝説を残す忍なだけあって、結構なダメージを食らったものの気力で復活する。
体の頑丈さも折り紙付きである。
「ええいこの無礼者めぇい! ワシを誰だと心得「うるせぇよ!」ゴフッ!?」
ただし愛弟子の攻撃力も折り紙付だった。
風を切り裂いて飛んで来た拳大の石が顔面にクリーンヒット。
「こんな所で何やってんだあんたは・・・」
「お前・・・侘びの一言もないんか」
「罪人に詫びる筋合いはない」
「ワシ・・・一応お前の師匠なんだが・・・」
「敬ってほしけりゃ少しは師匠らしくしやがれ」
自来也は鼻血を垂れ流しながらも再度立ち上がったが、暖かい言葉は掛けてもらえない。
幼年期の指導が悪かったのか、師の体を労わるような愛ある弟子には育たなかった。
「まぁいいわい・・・ところでナルト、何でお前が此処に居る? それと手に持っとるそれは何だ?」
「あ? 見てわかんねぇのか? 縄だよ縄」
『やれやれ、もうボケたのか・・・』 とでも言いたげな顔で肩を竦めるナルト。
「んなこたぁわかっとるわい! 何に使うのか聞いてんだよ!」
ボケ老人扱いされたのが気に食わない自来也。
とりあえず、久々に顔を合わせた師弟の会話ではない。
「これ捕縛用だから使い道一つっきゃねぇだろ」
「捕縛? 誰をだ?」
「(ニコッ♪)」
口の端を邪悪に歪めたナルトに、さしもの自来也も退いた。
「お、お前、ワシをそーゆー目で見とったのか!?」
そして青い顔になると両手で素早く尻を押さえた。
「あ、アホか殺すぞ!! ここの女将さんに頼まれたんだよ!!」
「何!? あの女将にそんな趣味が!? ・・・いや、でも痛くされるのはちょっとなぁ」
真顔で考え込んでいるが、かなり素敵な勘違いをしている。
「アホな事言ってんじゃねぇ! 何処かの誰かさんが、毎日懲りずに覗きに精出してくれたお陰で客足が遠退いてんだよ!」
「げっ! バレとったんか!?」
気付くのが遅い。
「あんたが昔馴染みを怒らせるようなマネするからだよ!」
「クソ・・・綱手の奴余計な事しやがって・・・!」
舌打ちをしているあたり、反省は全くしていないようだ。
「それにあんた、捕まえに来た連中ぶちのめしただろ」
「いや・・・取材の邪魔されてつい・・・」
「『つい』じゃねぇよ!! あのおっさん達作戦会議開いてたぞ!?」
「むむっ・・・思ったより大事になっとるのぉ・・・・・・。 ん? って事はお前、ワシにその事を知らせにきたのか!」
状況が飲み込めてきた自来也は、いそいそと取材道具を片付け始める。
「よし、ワシはこれ以上面倒が起きる前に逃げる! じゃあの、恩に着るぞナルト!」
背中を見せた瞬間、ヒュン! という風斬り音が鳴る。
黒い物体が顔の横を通過し、スコン! と小気味良い音を立てた。
隣の木を見れば突き刺さったクナイが小刻みに揺れている。
「・・・ナ・・・ナルト?」
冷や汗を垂らしながらぎこちない動きで振り返ると、ナルトは般若と見紛うような笑みを称えていた。
「わざわざ捕まえに来たんだ、何処にも行かせねぇよ」
「ま、待たんか! 師の苦境を手助けするのが弟子の務めと思わんのか!?」
「全然。 道を踏み外した師匠を更正させるのが弟子の務めだ」
「ワシを捕まえても何のメリットもねぇだろぉが! 寧ろお前まで疑われるぞ!」
「安心しろ、まだ俺とあんたの関係まではバレてねぇ」
どうあっても逃げたい自来也と、どうあっても捕まえたいナルト。
「捕った時は有る事無い事言いふらしてやるからな!!」
「・・・だったら先にその口封じてやる!」
「ふっ・・・覗き・・・もとい、取材の合間片時も忘れず修行に励んでいたワシだ・・・そう簡単にやられはせんわい!!」
「面白ぇじゃねぇか・・・前回の黒星、今日ここで取り戻してやっから覚悟しやがれ!」
事が穏便に運ぶ筈もなく、2人とも戦闘態勢に入ってしまった。
「いい度胸だのぉ! よし、着いて来い!」
「上等!」
そして2人は夜の闇に駆け出して行った。
―街の外れ―
森の中を高速で駆け抜ける二つの影。
片や、数々の偉業により、多くの忍を震え上がらせる伝説の忍。
好物は女の裸。 特技は覗き。
各地の温泉に出没するセクハラ妖怪。
最強にして最低な蝦蟇使い。
片や、数々の奇行により、一部の忍を極限まで怯えさせる伝説の暗部。
好物は女の体。 特技は子作り。
木ノ葉に生息する色欲魔人。
最凶にして最悪な狐憑き。
誰の目にも触れない場所で、究極の戦いが繰り広げられていた。
「オラッ!!」
ナルトは手頃な枝に止まると、そこを足場にして体を深く捻り、反動を付けて腕を振り下ろした。
手元を離れたクナイは、空中にいた自来也の真下を通過。
凄まじい速度とは裏腹に、コントロールの方がイマイチだった。
「・・・何処を狙っとるんだあいつは・・・」
後方を振り返り、呆れた顔で呟く自来也。
「!」
しかし、枝に足を掛けた途端、その枝が悲鳴を上げてへし折れた。
自来也はバランスを崩し宙に投げ出されはしたが、体勢を整えて難なく着地する。
「あのクナイはこの為のものか」
ナルトが放ったクナイはダメージを狙ったものではなく、足場にする枝に亀裂を入れる為のものだった。
折れた枝を見上げていると、新たに追加されたクナイが頭上から迫っていた。
しかも可愛げのない事に顔面狙いだ。
すぐさま首を捻って回避する。
ゴス! ゴス! ゴス!
そんな物騒な音を響かせ、外れたクナイが地面に突き刺さる。
いや、突き刺さるというか地中に潜り込むと言った方が適切だろう。
速度も凄まじいが、貫通力に関しては銃弾と比べても遜色はない。
万が一命中すれば、盛大な風穴が開いてしまう事間違いなし。
―・・・・・・なんちゅう威力だ。
あからさまな殺意を込めた攻撃に顔を青くする自来也だったが、ナルトの攻撃はまだ終わっていなかった。
―起爆札! ・・・どこまでも可愛げの無い!
クナイの着弾点からブスブスと白い煙が燻り、眩い光を発し強烈な爆発が生じた。
「さ〜て・・・仕上げと参りますか」
ナルトは爆発から数十m離れた樹上にいた。
遠目に爆発が起きたのを確認すると、土埃をブラインドにしてすかさずクナイを放つ。
そして次々と印を結んだ。
【忍法! 無限刃!】
瞬く間に鉄の刃陣が形成され、視界の効かない自来也に襲い掛かる。
数も然る事ながら、一つ一つが尋常でない殺傷力を有している。
並みの忍なら回避はおろか原型を留める事すら不可能だ。
まぁハッキリ言って身内に使うような術じゃない。
だがこの程度で一々死んでいるようでは、鬼弟子の師匠など到底務まらない。
【忍法 針地蔵】
あれ程の集中砲火に曝されて尚、自来也には掠り傷さえ付いていなかった。
体全体を白い針山で覆い、乱れ舞う鋼を尽く弾き飛ばしたのだ。
針の正体はチャクラを流し込み硬化させた髪である。
攻撃と防御の両面を兼ね備えた使い勝手の良い術であり、一度発動すれば術者に触れる事は不可能に近い。
弟子が鬼なら師匠は妖怪のようだ。
「ちっ! やっぱり生きてやがったか」
ナルトは非常に不穏当なセリフを口にしつつ、高速で印を結んだ。
【水遁! 水包陣!!】
何処からともなく集まって来た水が、自来也の体に纏わり付いた。
大小の水泡は足元から頭部を目指して這い上がり、空気の道を遮断しようとする。
「甘いわ!」
自来也はすぐに針地蔵を解除し、チャクラを練り上げて新たな術を発動させる。
【風遁! 螺旋篭!!】
すると足元を中心に風が巻き起こった。
水を全て吹き飛ばした風は自来也を中心に目まぐるしく駆け巡り、360度を守る強固な球状の防壁となる。
「ここからは攻守交替だのぉ」
風の鎧を纏った自来也は、不適な笑みを貼り付けて前へ進む。
「・・・とことん憎たらしい親父だな・・・」
逆にナルトは表情を曇らせて後へ下がる。
―・・・接近戦は自殺行為・・・厄介な風だ。
僅かでも間合いに踏み込めば風によって切り刻まれる。
チャクラで防壁を作り特攻したとしても、深手を負うのは避けられない。
例え無傷で突破出来たとして、侵入者を拒む逆風を潜り抜けるまでに数秒のタイムラグが生じてしまう。
他の忍なら兎も角、今相手にしているのは自来也。
その数秒が十分命取りになる。
「さて、考えは纏まったか・・・のぉ!」
自来也が一足飛びに間合いを侵略する。
風の余波が木々に爪跡を刻む。
ナルトは真横に飛びながらクナイを投げた。
ただ投げたのでは弾かれるので、チャクラを流し速度と貫通力を上げている。
しかし殺傷力を極限まで高めたにも拘らず、間合いに入った途端軌道を変えられた。
「無駄だ!」
ナルトの攻撃を全く寄せ付けず、お構い無しに突っ込んでくる自来也。
―クナイが駄目なら・・・。
空中に飛んだナルトは次々と印を切った。
大量の火玉が夜空を照らし出す。
【火遁! 焦燕連舞!!】
火の玉が燕の群れに姿を変えて一斉に羽ばたいた。
次々に急降下して襲い掛かるが、またしても逆風に煽られて残らず消滅した。
―・・・・・・じゃあ、これならでどうだ!!
ナルトが両手を合わせる。
練り上げるチャクラ量は今までの比ではない。
溢れ出すチャクラに呼応するように、夜空に浮かぶ月に黒雲が掛かる。
「!」
天候の異変に気付いた自来也が、ナルトに向かって疾走するが既に手遅れだった。
【雷遁!! 百舌鳥落とし!!】
自来也の頭上に防御不能の雷が降り注ぎ、耳が壊れんばかりの破裂音が轟く。
蒼白い閃光は地面を抉り、辺り一面が焦土と化している。
しかし、抉られた地面の中心に自来也の姿は見当たらなかった。
―チィ! 何処行きやがった!?
姿、気配だけでなくチャクラすら消し去っている。
―・・・・・・下か!
ナルトは自分の足元に向かって全力で蹴りを叩き込んだ。
【土遁!! 地走り!!】
強力なチャクラを篭めた一撃が大地を揺さぶり、発生した衝撃波が森の木々を円状に薙ぎ払う。
更に衝撃が地中まで浸透している為、土遁で隠れたとしてもダメージは避けられない。
捲れた地面からボロボロになった自来也の上半身が現れる。
下半身は土に埋もれた状態である。
だが、
「影分身!!?」
自来也は影分身を変わり身にして、難を逃れていた。
驚愕を浮かべるナルトに一瞬の隙が生じる。
その隙を見逃さず、頭上から奇襲を掛ける自来也。
「!」
突き出した掌でチャクラが球状に渦巻いている。
「くそッ!」
ナルトも掌でチャクラを乱回転させ、振り向きざまに腕を突き出す。
【【螺旋丸壱式!! 縫撃!!!!!】】
激突する力の渦。
2人の掌を中心に大規模な爆発が起きる。
「「おおおおおおおっ!!!」」
ナルトと自来也は、一歩たりとも退かなかった。
チャクラの奔流の真っ只中で爆風に煽られながら、伸ばした腕をそのままに必死な形相で踏み止まっていた。
先程のような術の応酬とは異なり、駆け引きもクソもない唯の意地の張り合いである。
さっさと非難すれば重症は免れる。
だがここで背を向ける事は負けたも同じ。
そう考えた2人は、未だ形を保っている掌の球体に、有りっ丈のチャクラを流し込んだ。
圧し掛かる風の圧が一層高まり、2人とも大きく吹き飛ばされてしまう。
そして地面に叩き付けられ、長い距離を滑っていった。
一旦距離を置く形になってしまった両者。
数秒前まで森だった荒地で、拳を握り固め睨み合う。
表情こそ真剣だが、ボロ布と化した着衣が風になびく様はかなりマヌケだ。
まぁ見てくれはともかく、お互い隙が見当たらず迂闊に動けない状態であった。
だが不意に、自来也が空を見上げた。
伝説の忍が戦いの最中に余所見をするなど、誰が予想出来るだろうか。
「・・・?」
あまりに自然な動作だった為、ついナルトも追いかけるように目を動かした。
上がった視線が元の位置に戻るまで、時間にすればコンマ一秒にも満たない空白だった。
たったそれだけの間に、自来也は間合いを詰めていた。
「ッ!!」
ナルトは直感だけで上体を後方に反らす。
死角から上って来た右膝が、鼻先を掠め通り過ぎた。
あと少し反応が遅れていたら、顎を打ち抜かれ意識を刈られていた。
膝を避けられた自来也は、すぐさま腰を捻る。
膝から変化させての廻し蹴り。
ナルトは半歩下がり頭部をカバーする。
「!?」
しかし、横を向いていた膝が真下を向く。
複雑な軌道を描き、縦に落ちる爪先。
下駄の歯が左足の甲に食い込む。
続いて何発もの蹴りが叩き込まれた。
全て下段。
足元への集中放火で、機動力を完全に殺すつもりだ。
ナルトの顔は苦悶に歪んでいる。
「ぐッ!! (骨が・・・!)」
呻き声を漏らしながらも右の拳を返す。
「痛ッ!!」
軸足に体重を乗せた途端、微かに攻撃が鈍った。
―もらった!
自来也は向かってくる拳を裏拳で弾き、身長差を生かして岩のような拳を鎖骨に打ち下ろす。
確かな手応えがあった。
打撃が当たる直前に間合いを詰め、多少は衝撃を流したようだが、手痛いダメージには変わりない。
その証拠に、拳を受けた肩が小さく震えている。
一気に攻めるには絶好の機会である。
当然見逃す筈もなく、自来也は掌打で腹を突き上げた。
「ぉぇッ」
まともに水月に入り、ナルトの体がくの字に折れる。
が、それも一瞬。
伸びた顎へ膝が突き刺り、すぐさま逆方向に仰け反った。
頭が真っ白になり、たたらを踏むナルト。
脳と同様に両眼が揺れている。
辛うじて立っているという感じだ。
「相変わらずタフだのぉ・・・・・・・・・だが!」
自来也はニヤリと笑うと、利き足を引いて拳を脇に抱えた。
「そろそろ寝る時間だ!」
爪先 ・ 足首 ・ 膝 ・ 股関節 ・ 腰 ・ 肩 ・ 肘 ・ 手首。
八つの関節をキレイに連動させたお手本のような正拳突き。
速度 ・ 角度 ・ 距離 ・ タイミング、どれを取っても申し分ない。
胸部に吸い込まれた一撃により、ナルトの動きは完全に止まった。
そして映像が巻き戻るように、全く同じ道を辿り拳が元の位置へ戻る。
拳に体重を預けていたナルトは、支えを失って両膝を突いた。
―やれやれ、なんとか終わったわい。
ナルトが自分の足元に傾いていくのを確認し、大きく息を吐く自来也。
無事に戦いが終わり、どこかホッとした表情を浮かべた。
だが、
「!!!」
すぐに自来也の顔が凍り付いた。
目を離した僅かな隙に、ナルトの拳が右足を地面に縫い付けていた。
痛みを認識するよりも早く、追撃の一撃が寸分違わぬ場所に打ち込まれる。
足の甲を念入りに砕かれ、堪らずよろめく自来也。
「・・・ぺっ」
ナルトは仮面をずらし何かを吐き出す。
赤い血溜りの中に、小さな肉片が混じっている。
それはナルトが自ら噛み切った舌の欠片。
先程、膝の直撃を喰らった時、強引な手段で意識を引き戻していた。
「・・・行くぞ・・・」
言うや否や、ナルトの片足が地面を弾いた。
自来也が両腕を交差する。
だが防御の隙間を掻い潜り、喉の窪みに指先がめり込んだ。
「ガハッ!」
攻撃された箇所を押さえ咽返る自来也。
ナルトはすかさずサイドに回り、肋骨に肘をぶつけて相手の動きを止める。
さらに拳を縦に走らせ、がら空きの顎を正確に打ち抜く。
凄まじい拳圧により白髪が乱れ、巨大な体が大きく後ろへ傾いた。
だが自来也はナルトの髪を鷲掴み、倒れる事を頑なに拒んでいる。
「しつけぇんだよ!! さっさと倒れろ!!」
分厚い胸板に叩き込まれる怒涛の連撃。
息が上がろうが倒れるまで打ち続ける。
しかし、何発打ち込もうが自来也が倒れない。
下駄の歯を地面に噛ませ踏み止まっている。
噛み締めた歯の隙間から、真っ赤な血が零れた。
ダメージの上にダメージを重ね、徐々に耐久力に限界が近づいてくる。
繰り出される打撃が、自来也の頑健な体を軋ませる。
小柄な体躯から放たれる攻撃は、想像を絶する重さと鋭さを秘めていた。
まるで大槌で杭を打ち込むように、一撃ごとに下駄を地面に埋めていく。
受け止めていた胸骨はとうの昔にヒビが入り、悲鳴を上げて今にも砕けそうだ。
自来也は倒れたがる体を無理やり繋ぎ止め、髪を掴んだ手により一層の力を込めた。
「っ・・・・・・マジでしつけぇ」
いい加減焦れてきたナルトは、一気にカタを付けようと拳にチャクラを掻き集めた。
間の空かなかった打撃がほんの一瞬だけ止む。
自来也は不敵な笑みを浮かべ、ナルトの頭を抱えて一気に内側に引っ張り込んだ。
「うおっ!?」
拳に意識を集中させていたナルトは、突然の事態に対応できずつんのめる。
「ぬぅん!!」
「!!!」
頭突きだった。
嵐のような連撃の最中、ただひたすら狙い続けた一撃。
額と額を密着させて、2人が動きを止めた。
二つに割れた仮面が、足元に落ちる
一足遅れて、油の額当てが滑り落ちる。
そしてナルトの両膝がストンと落ちた。
今度こそ意識を手放し、地に顔を伏せている。
ナルトが失神したのを確認すると、自来也は漸く構えを解いた。
念の為にと突っ突いてみても、やはり反応はない。
「・・・か・・・・・・」
自分の勝利が確固たるものとなり、両手を握り締め歓喜に打ち震える。
「勝ったぞぉ―――!!!」
勝利の雄叫びが木霊した。
師匠としての面目を躍如出来たのが余程嬉しいのか、涙まで浮かべて喜んでいる。
「・・・・・・あ・・・ら・・・?」
だが気を抜いた途端、額からドピュ!と血が飛び出した。
そして、自来也もまた失神したのだった。
ナルトVS自来也・・・・・・・・・・・・師弟対決は勝者無しという結果に終わった。