NARUTO
〜九妖忍法帳〜 17話目
―山中家―
静まり返った部屋に、虚しい雨音だけが響いていた。
テーブルの上に並べられた6つのカップ。
ただテーブルを囲む人数はカップよりも少ない。
とても不機嫌そうないのとシカマル、静かに俯いているヒナタ、無表情のシノ。
反応はそれぞれだが、子供達が思い浮かべているのは、先程家に帰っていったナルトだった。
あの後手当てを終え、いのとシカマルは当事者であるナルトを問い詰めた。
@殴られていた理由について。
A豹変した雰囲気と異様なまでの殺気について。
B瞳の色の変化について。
Cいのの家に着くまでに感じた里人の視線と態度について。
D家に着くまでに傷が完治していた為、その異常なまでの回復力について。
E数人の忍を瞬殺した玉藻の素性と、ナルトとの関係について。
すると、この質問に対して返ってきた答えはこうだった。
@いきなり絡まれたので理由は知らない。
A日々の修行の賜物だ。
B生まれつきの体質なので自分にも良く分からない。
Cまったく身に覚えがない。
D気合。
Eナルトの親戚である九妖の部下であり妻だ。 したがってナルトとは旧知の仲である。(これは玉藻が答えた)
・・・・・・・・・・・・早い話、まともな答えは何一つ返ってこなかった。
2人は当然『んなわけねーだろ!!』 と突っ込んだが、途端に玉藻がプレッシャーをかけてきたので、渋々黙ったのだった。
ちなみに、ヒナタは血だらけのナルトを見て気絶していた為、目を覚ました後でシノから話を聞いた。
それとシノに至っては何も質問していないし、しようとも思わなかった。
だが、いのとシカマルはそれで『ハイそうですか』と引き下がれる筈もない。
「あれ、絶対何か隠してるわ・・・・・・」
いい加減頭に来ていたいのが沈黙を打ち破った。
「ああ、いのの読みに間違いねーぜ・・・・・・。 気合であの怪我が治るわきゃねーだろ、あのバカ・・・」
当然シカマルもいのに賛同する。
彼としては自分を頼ってくれない事に少し不満がある。
「・・・・・・調べてみない?」
「い、いのちゃん・・・調べるって・・・何を・・・?」
「決まってるでしょ、ナルトのことよ?」
「で、でも・・・」
「・・・気が進まない」
「めんどくせーけど、このまま放っとくわけにはいかねーだろ!」
「・・・・・・・・・」
「ああもうっ! シノ、グズグスしない! 今から調べるわよ!! わかったわね!!!」
いのとシカマルは本人から話を聞き出せないのなら自分達で調べてやろうと、ヒナタと渋るシノを強引に引き連れて調査に乗り出した。
―木ノ葉通り―
子供達は意気込んだまでは良かったのだが、如何せん手持ちの情報が少なすぎた。
故に少しでも情報を集めようと雨の中聞き込みを行い、その結果ナルトが異常なまでに毛嫌いされていると知る。
里人曰く。
『生きていてはいけない』 『存在そのものが罪だ』 『あいつに係わると穢れる』
ナルトの名を出しただけで顔を顰め、その存在全てを否定し激しく罵った。
子供達は相手を殴り付けたい気持ちを抑えながら、黙って里人の言葉に耳を傾ける。
そして感情が爆発しそうになるのを堪え、誹謗中傷の限りを尽くした大人にナルトを嫌うその理由を尋ねた。
だが、全員揃って口を噤み、理由を言おうとはしなかった。
その為子供達は初日から行き詰り、雨を避けて力無く道端に座り込んでいた。
「何なのよアイツら・・・ムカつくわねー・・・!!」
いのが据わった目でそう言った。
ナルトがあんな憎しみの中で生きてきたのかと思うと遣り切れない。
里の者は皆家族。
それが初代火影から受け継がれて来た信念ではなかったのか。
少なくともいのはそう信じていただけに、里の実情を垣間見た落胆と怒りを隠せなかった。
「さっきの連中も正気とは思えなかった・・・一体何すりゃここまで嫌われんだよ・・・」
シカマルもいの同様に里に対する不信感が募っていく。
子供達の中でナルトとの付き合いが最も長いシカマル。
最近になって雰囲気が豹変したが、それでも変わらない親友だと思っていた。 いや今もそう思っている。
その親友が里中から爪弾きにされていたのを知らず、それに気付く事も出来なかった自分に対し、無性に腹が立った。
「ナルト君・・・苦しくないのかな?」
ヒナタは自分の事のように胸を痛めていた。
彼女は知っている。 ずっとナルトを見てきたから。
里人から憎まれている事も、感情の捌け口となってきた事も・・・・・・。
普通の子供なら心を失っても可笑しくない境遇に身を置いていながら、他者に対する思い遣りを忘れず、暖かい眼差しをしたナルトが大好きだった。
「・・・・・・あいつは強い」
シノは無表情に呟くが、ヒナタにはシノが微笑んでいる事が分かった。
蟲使いの末裔として、体内に蟲を巣くわせる異能の一族。
昔のシノは幼馴染であるヒナタとキバ、同じ旧家の子供である猪鹿蝶、その5人以外の者達からは避けられていた。
だがナルトは何の含みも持たず、平然と友達になってくれた。
蟲を見せても眉1つ動かさず、
『それってムズムズしねーの?』
と、ズレた質問をしてきただけで他には何も言わなかった。
呆気に取られはしたものの、悪い気はしなかった。
他人には分からない苦しみを味わった事のあるシノは、例えナルトに人と違う何かがあろうとも、本人が話したくないのであれば無理に聞こうとは思わなかった。
しかし生来感情が表に出難いシノの心中は、いのやシカマルには察する事が出来なかった。
「シノぉ・・・アンタも少しはやる気出しなさいよ・・・」
「お前だってナルトとは付き合いなげーだろ、ちったー協力しろよ」
「・・・・・・ああ」
仲間からのお叱りの言葉を持ち前のポーカーフェイスで切り抜け、一応返事だけは返しておく。
ここで一旦会話が途切れ、子供達は頻りに首を捻り解決の糸口を模索する。
「しっかし、これからどうすっかな・・・・・・」
「ナルトを嫌ってるのは分かったけど、肝心の理由がわからないのよねぇ・・・・・・」
「手持ちの情報が少なすぎんだよ。 調査するにしても何から調べりゃいいのか・・・・・・」
「あの・・・少しいい?」
「なにヒナター? どうかしたのー?」
「・・・うん・・・私思ったんだけど・・・。
ナルト君本人の事を調べても分からないなら・・・その周りの人の事を調べてみればいいんじゃないかな・・・?」
そのやり取りを控えめに見守っていたヒナタが口を挟み、3人がその提案に耳を貸す。
「・・・周りの人・・・・・・そうよ、玉藻さんよ!」
「成る程、あの姉ちゃんか! となると・・・ナルトの親戚の九妖って奴も調べれば・・・」
「・・・・いずれはナルトに行き着く筈よー! ヒナタ、お手柄よ!」
「・・・しかし、相手は暗部だ。 そう簡単に素性が割れるとは思えない」
「けどあの姉ちゃん、自分から暗部つってたじゃねーか・・・その時点で普通じゃねーだろ?」
突破口を見つけ再びいきり立ついのに、シノのツッコミが入り、シノに対してシカマルが突っ込む。
「それでも無謀だ」
シノがごねる。
「大丈夫よ〜♪ 火影のジィさんに【心転身】使えば一発だからね〜♪」
「・・・・・・・・・」
いのの発言にシノ絶句。
いのは三代目の体を乗っ取り、機密書類を漁るつもりでいた。
かなりヤバイ事を考えているのだが、この少女は思い込んだが最後。
何があっても止まらない。
その後目標を玉藻と九妖に定め、その2人を対象に調査を始めたのであった。
―調査2日目―
夜の闇に紛れ、火影邸の塀の前で作戦を実行する子供達。
降り注ぐ雨が足音を消してくれるので、隠密行動には最適な条件である。
「どうだヒナタ? ジイさん居るか?」
三代目の部屋を見上げ、白眼を発動させたヒナタにシカマルが尋ねる。
「・・・・・・うん居る。 ・・・それから見張り役の人は居ない」
「分かった・・・・・・行くぞいの」
ヒナタの答えを聞き、手裏剣を構えるシカマル。
《オッケーよ、シカマルー》
すると手裏剣から声が聞こえた。
どうやらこの手裏剣はいのが変化しているようだ。
そしてシカマルは狙いを定め、その手裏剣(いの)を塀の向こうに投げる。
手を離れた手裏剣(いの)は雨を切り裂いて、暗闇の中へと消えていった。
「・・・・・・どうだ」
蟲で周囲を監視しつつ、あまり乗り気ではないシノがいのの様子を窺う。
彼はヒナタが行くので仕方無しに付いて来たのだ。
「変化を解いて着地したよ・・・」
ヒナタはオッケーサインを出すいのの姿を確認し、状況をシカマルに報告する。
「そうか・・・。 シノ、いのの体の確保を頼む」
「・・・・・・」
報告を受けたシカマルはすかさず次の指示を出し、それに乗り気ではないシノが渋々頷き変化する。
先程と同じく、シカマルは手裏剣に変化したシノをいのの元へ投げ、再びヒナタが確認し報告した。
・・・まぁこんな具合にそれぞれの特技を活かし、子供達は着々と任務を遂行していく。
シカマルが司令塔となり的確な指示を出し、ヒナタが白眼で状況を伝え、シノが蟲で周囲を監視し、3人がかりでいのをサポートしている。
さすがは上層部が期待を寄せるだけあって、下忍らしからぬ用意周到さである。
「・・・シノ君がいのちゃんを担いで戻ってくる・・・・・・成功したみたい」
「分かった・・・後はいのに任せる。 オレらはシノが戻り次第移動するぞ」
「うん」
やがて、無事に役目を果たしたシノが塀を飛び越え、子供達は素早くその場を離れた。
それにしても、不意を突いたとは言え歴代最強と謳われる三代目火影を相手取り、この手際の良さ・・・・・・。
もしこれが任務であれば、どんなに低く見てもBランクは堅いだろう。
末恐ろしい子供達だ・・・・・・・・・。
―3分後―
火影邸から少し離れた場所で、壁に背をあずけた体がビクリと跳ね、いのの精神が戻る。
実行犯のいのが戻ったのを合図に、子供達は雨の中地面にしゃがみ込んでの井戸端会議を始めた。
「いのちゃん・・・どうだった?」
「ダメ・・・玉藻さんの書類はなかったわ」
ヒナタの問いにいのが首を振る。
いのは当初の目論見通り三代目の体を乗っ取り、ヒナタが白眼で確認した暗部の書類を漁ったのだが、玉藻の書類はどこにも見当たらなかった。
それもその筈、玉藻を含む暗部第九班のメンバーは九妖直属の部下である。
玉藻達への命令権を持つのは九妖のみで、三代目ですら命令を下す事は出来ない・・・・・・って言うか命令に従わせる事ができないのだ。
以前上層部の1人が高圧的な態度で迫った事があるが、それにキレた玉藻によってその男は死んだ方がマシという程の地獄を味わった。
以来九妖率いる第九班に逆らう者は誰一人居なくなり、3人に関する報告書を出せとしつこかった上層部も、わが身可愛さに揃って口を閉ざしたのである。
したがって彼等は、堂々と顔を晒し名を名乗る希少な暗部の割りに、その実態は謎に包まれている。
「クソ・・・お手上げかよ!」
「・・・これからどうするの・・・?」
「こうなったら、今度は玉藻さんと九妖って奴の聞き込みだ・・・行くぞ」
またも手詰まりかと溜息を吐きつつ、立ち上がろうとしたシカマルとヒナタだったが、いのはニッコリ笑って言った。
「チッチッチ・・・2人とも慌てないのー。
確かに玉藻さんのリストは無かったけど、代わりに九妖って人のはあったわよー?」
「・・・おい。 それを早く言えよな、ったく。 ・・・で、どうだったんだよ?」
頭を掻きながらシカマルが続きを促す。
「ゴメンゴメーン♪ ・・・・・・じゃ言うわよ?」
いのは軽い表情から一転して真面目な顔になり、シカマルとヒナタが息を呑むが、シノはやはり気が乗らないようだった。
「まず、九妖って言うのは暗部名で本名は分からなかった」
半ば予想していた答えにヒナタが愕然とする中、いのの説明は続く。
「15歳で暗部に入隊。 次の年には分隊長に昇格・・・踏んだ場数と任務の達成率は半端じゃないわ・・・・・・」
ナルトが暗部に所属してからの10年でこなした任務は、Dランク0回 Cランク0回 ・ Bランク73回 ・ Aランク296回 ・ Sランク225回。
任務達成率は9割強。
「それで?」
ヒナタは口を開けて驚くが、シカマルは冷静沈着。
今はとにかく少しでも多くの情報が必要なのだ。
「そのリストに顔写真が張ってあったんだけど、髪と目の色以外はナルトにそっくりなのよ」
「親戚なら似ていても不思議ではない」
「ま、私もそー思ったわよ・・・でも、ここから先が重要なのよ」
口を挟んだシノの目の前に、いのが人差し指を突き付ける。
「シノのゆーとーり、親戚同士なら似てるのは不思議じゃない。
むしろ私が驚いたのは、その九妖が四代目とも似てるって事なのよ・・・」
「ではナルトとも・・・」
「そ! アレは他人の空似なんてレベルじゃすまない。 この3人・・・・・・絶対に血の繋がりがある筈よ」
「・・・・・・・・・」
いのが言った事は半分は当たっているが、半分は外れている。
ナルトと四代目が血縁であるのは間違っていないのだが、ナルトと九妖は同一人物である。
しかしそんな事とは夢にも思わないいのが、確信に満ちた表情で言い放つとシノも納得したのか口を閉ざした。
そして2人の議論が纏まったところで、シカマルは明日の計画を練り始める。
「・・・よし、明日っから四代目の事も調べんぞ」
「・・・で、でも・・・九妖さんの事はいいの?」
「ちゃんと考えてるよ。 いのは九妖を、ヒナタはシノと一緒に四代目について調べてくれ」
「・・・シカマル君は?」
「オレはもう一回ナルトの周辺を洗ってみる。 ・・・ところでお前ら、明日の任務は?」
各人のスケジュールのチェックにも余念が無いシカマル。
「・・・オレ達の班は演習・・・昼までだ」
シノは最早止めても無駄だと悟ったのか? はたまた幼馴染に付き合っているだけなのか?
まぁいずれにせよ、いつの間にか頭数に数えられている自分を密かに嘆くシノだった。
「私達は明日は休みだから・・・・・・アンタ達の任務が終わったら、【木ノ葉通りに】集合ね」
かくして有益な情報を得た事で、俄然やる気が出てきた(1名除外)子供達の、2日目の調査は無事解散となった。
―調査3日目―
雨が上がった昼下がり、3日ぶりに顔を出した太陽がとても眩しい。
道端に出来たいくつもの水溜りに、青く晴れた空が色を着けている。
「ヒナタ〜! シノ〜! こっちこっち〜!」
大通りのど真ん中、行き交う人々が振り返る程の大声で手を振るいの。
「・・・ごめん、待たせちゃった?」
「気にしなくていいのよー?」
申し訳なさそうに駆け寄って来たヒナタを、いのが笑顔で迎える。
「んなこたーどうでもいーから、さっさと行くぞ」
「分かってるわよー」
しかしシカマルに茶々を入れられ頬を膨らます。
シカマルはそれに構う事なく、全員が揃ったのを確認し指示を出した。
「んじゃ・・・各自調べが付いたら【甘栗甘】に集合な」
「オッケー♪」
「うん」
「・・・・・・了解」
そして子供達は昨日の打ち合わせ通り、それぞれの役割を果たすべく、調査に乗り出すのであった。
―甘味処・【甘栗甘】―
3時間程して調査を終えた子供達は、当初の予定通り【木ノ葉茶通り】にある茶屋、【甘栗甘】に腰を落ち着けた。
子供達は長椅子に座り、調査の結果を報告し合っている。
「この九妖って人、睨んだとーり四代目の親戚だったわ」
いのがメモを読み上げ、他の3人は黙って頷く。
九妖はその破天荒な部下達のお陰で、かなりの有名人となっている為、調べるのは左程難しくなかった。
「・・・それが分かったのは良かったんだけど・・・・・・
この人に関して出回ってる噂が多すぎるせーで、どれがホントかいまいち分かんなかったのよ・・・」
ただし、それは玉藻達がカカシ達に吹き込み、カカシ達から同僚に流れた出鱈目な情報。
しかも噂が噂を呼んで、半ば都市伝説と化していたのである。
「その中で信憑性の高いのはねーのかよ?」
これと言って収穫が得られずションボリするいのに、シカマルが気の毒そうに溜息を吐いた。
「一応あるにはあるんだけど、大して役に立たないわよー?」
「それでも構わねーから言ってみろ」
「うん、じゃあ・・・」
いのは気を取り直しメモを捲る。
「今の肩書きは暗部第九班班長。 面を付けない希少且つ奇怪な3人の部下を持つ身。
九妖本人は干支12士以外の仮面を着用する唯一の暗部で、木ノ葉随一の実力者。
性格は至って温厚だけど・・・・・・キレると何をするか分からない。
またその部下もキレると何を仕出かすか分からないので、里で生きていたければ彼等に逆らってはいけない」
そしたら出るわ出るわ・・・・・・一体どの辺に信憑性があるのか、果てしなく理解に苦しむ。
「なぁ、いの? それってマジで信用していいのか?」
シカマルが冷汗を垂らしながら尋ね、ヒナタとシノも頻りに首を縦に振った。
「何言ってんの、情報源は家のパパなんだから間違いないわよー? ・・・じゃ、続けるわよ」
だが、咳払いをしつつメモを読み続けるいのは大真面目である。
「去年の大晦日、里の特別上忍以上の忍全てを相手取り、乱闘騒ぎを起こすがこれに無傷で完勝」
「待て待て待て!! それは流石に嘘だろ!?」
「だからホントよー。 家のお父さんも被害者だしー」
再びシカマルが横槍を入れ、いのは膨れっ面になる。
「・・・そーいや去年の暮れに親父がボロボロになって帰って来たけど・・・・・・まさかそれか?」
「そ、そう言えば・・・お父様も・・・シ、シノ君は?」
「・・・家もだ」
何か思い当たる節があったらしく、3人は眉を寄せ事実は小説より奇なりと冷汗を流した。
「はいはい、これで最後だからしっかり聞いといてよ・・・。
この九妖って人・・・・・・・・・何考えてるのか分かんないけど、執務室構えてるみたい・・・」
「「「は?」」」
今度は3人の目が点になる。
シカマルとヒナタだけでなく、シノまでも。
3人が呆れるのも無理はない。
いのも最初に聞いた時は自分の耳を疑った。
普通暗部は火影直属の機密部隊であり、そんな目立つ真似は間違ってもしない。
「何か・・・変わった人だね・・・」
「・・・・・・それで暗部と呼べるのか?」
「いや、ぜってー呼べねーよ」
だがそれ程開けっ広げにしているにも拘らず、肝心な情報が何一つ掴めなかった。
「はいはい、これで報告お仕舞ーい。 次行きましょ次! おねーさん甘栗追加!!」
結局九妖に関する調査は無駄足に終わり、いのがやけくそで叫んで報告は打ち切りとなる。
「ヒナタ、シノ、とりあえず報告してくれ」
3人は甘栗を自棄食いしているいのは極力スルーする事に決定し、四代目のに関するデータを検討する。
「短刀直入に言う・・・・・・・・・四代目に血縁が居たという公式な記録は残っていない」
シノが一切の前置きをせず事実だけを述べると、ボリボリと栗を貪っていた音が止まった。
「四代目の死後、その資産の全てが誰にも相続されていない。
役所に蟲を潜り込ませて確認を取った・・・まず間違いないだろう」
「そんな筈ないでしょー! あの3人は絶対に関係があるわ!」
「落ち着けっていの・・・」
自分の調べた情報との食い違いに、席を立ち声を荒らげるのの肩にシカマルが手を置いた。
「シカマルの言う通りだ、少し落ち着け。 ・・・血縁はいなかったが妻はいた」
シノの口から、血が上った頭に冷水を被せる言葉が飛び出す。
「・・・いの・・・十分有益な情報だ、黙って聞け・・・」
続けてシカマルが言うと、いのは冷静になりバツの悪そうな表情で席に座った。
シノはそれを確認し手元の紙に目を戻し、中断していた説明を再開した。
「その妻との間に子供を儲けたようだが、記録では流産となっていた」
シノとヒナタが調べ上げた資料には流産とだけ記されていたが、実際にはナルトは生きている。
しかし、ナルトは三代目や御意見番以外の上層部からは憎まれている為、里の英雄である四代目との血縁を示すような資料は全て処分、もしくは改竄されていた。
当然四代目の遺産などびた一文受け取ってはいない。
「ちょっと待って・・・・・・子供はいなかったけど、奥さんはいたんでしょ? だったらその人が遺産をもらったんじゃないの?」
「ううん・・・四代目が亡くなってからすぐに、奥さんは行方が分からなくなったの・・・。
だから四代目の遺産は全部、上層部の人達が管理してるみたい。 ・・・・・・それ以上は何も分からなかった」
それならば自然と遺産は妻に渡る筈なのだが、その妻は消息が一向に掴めなかった。
「血縁って証明できるものは何もない・・・・・・」
調査を始めて早3日・・・調べを進めれば進めるほど新たな情報は得られるのだが、それぞれの情報を繋げる要素が薄すぎる。
結果的には謎が深まるだけで真実が見えてこない。
シノの一言が止めとなり、いのは自分の考えは変えないものの、八方塞の状況に頭を抱えた。
「あの・・・関係あるかわからないんだけど・・・四代目が亡くなった日とナルト君が生まれた日・・・同じ10月10日なの・・・」
「10月10日・・・ってこの間じゃない!? アイツそんな日に生まれたの!? てゆーか何で言わないのよアイツ!!」
だがヒナタの遠慮がちの発言に、バッと顔を上げた。
いのはナルトの誕生日を知らなかったのだ。
10月10日は里の慰霊祭というイメージが強い上に、良く考えたら毎年その日に限ってナルトに会った試しがない。
里を襲った九尾を封印して散った四代目、時を同じくして生まれたナルト。
奇妙な偶然というだけで何の証明にもならないかもしれないが確かに引っ掛かる。
「ヒナタが言った事は十分関係してるぜ」
ヒナタの意見にシカマルが賛同し、ポケットから一枚のメモを取り出し席を立つ。
「いいか、ここを見てくれ」
ポケットから取り出したメモを椅子の上に広げる。
シカマルはナルトの調査を進める内に、四代目とナルト・・・・・・2人の繋がりを示すカギが15年前の事件にあるのではないかと考えていたのだった。
「ナルトを調べるついでに、あの連中の素性も調べてみたんだがよ。
あの5人に共通してたのは、15年前の事件で身内を亡くしてるってとこだ」
「どーゆー事よ?」
「ナルトを殴ってた連中が言ってたろ? 『化け物』ってよ・・・ありゃ多分『九尾』の事だ」
「でもそれがどう関係あるのよ!? アイツら、ナルトを化け物って呼んでたじゃない・・・!」
冷静に分析を進めるシカマルの隣で、腹立たしい記憶に顔を歪めるいの。
シノとヒナタも声には出さなかったものの、瞳の奥では怒りが燻っていた。
「・・・それに関しちゃ分からねぇが、ナルトを怨んでるのは15年前に親しい奴を亡くした連中ばっかだ
ただ・・・・・・オレらの親父や担当上忍。 それと火影のジィさんと御意見番の2人・・・・・・。
15年前に前線張ってた連中はナルトを英雄って思ってんだよ・・・・・・多分その辺りに何かがあるんだろーな」
シカマルはシカマルで複雑な面持ちをしていた。
多くの里人から疎まれる反面、一部の者からは讃えられるナルト。
「・・・だが、当時生まれたばかりのナルトに何が出来る?」
シノの疑問は当然である。
「何かしたのがナルトじゃなくて四代目だとしたら?
そんで、それを怨んだ上層部が情報を弄ったせいでナルトが怨まれてる・・・
って考えたら全部の辻褄が合うんじゃねーのか? ・・・・・・まぁ感だけどよ」
かなり的を射た答えを導き出したシカマルだが、本人としては確信が持てるわけではなかった。
シカマルの推理はあくまで改竄された情報を元に組み立てたものだ。
それに推理は推理・・・想像の域は脱していない。
しかし現段階ではそれが最も理に適った仮説であり、もう他に情報がない以上議論の余地はなかった。
そして、子供達は今度こそ完全に行き詰り、連日の調査も徒労に終わってしまった。
場に重苦しく嫌な空気が漂い始め、子供達の顔も精彩を欠いている。
「あ〜・・・もー! 結局何も分かんなかったじゃない・・・!」
いのがボソッと呟いた。
全てが無駄に終わり、連日の疲れが一気に出たらしく、生気を感じさせない恐ろしい目付きをしている。
「ナルト君・・・・・・私達には話したくないのかな・・・・・・」
ヒナタは手に持った湯飲みを握り締め静かに俯いた。
「人には知られたくない事もある」
そう言ってシノは茶を啜る。
落ち着き払ったシノに、いのとシカマルはムッとする。
「ちょっとアンタ! 少しは心配にならないの!?」
「余計な詮索は本人にとっても迷惑だ・・・・・・他人が口を挟める問題ではない」
「けどよ! ナルトがオレらをどう思ってるかは知んねーが、あいつはオレにとっちゃダチなんだよ!」
「ナルトが背負っているものが、友にも話せない程重いと言う事だ」
シノは一向に態度を崩さない。
始めから乗り気ではなかった為、何も出てこなかった事に少し安心していた。
だが2人は納得出来ない。
「けど、そんなのさみしいじゃない・・・!!」
友達なら少しくらい頼ってくれてもいいだろう。
それとも自分達はそれ程信用されていないのだろうか?
普段から気の強いいのだが、今回ばかりは泣きそうになった。
「い、いのちゃん・・・」
それを慰めるヒナタもまた涙を浮かべている。
「・・・・・・オレは本人が話してくれるまで待つ」
いつもならすぐにでもヒナタをフォローするシノも、これだけは譲る気がない。
「・・・・・・・・・」
ここまでキッパリと言われてしまえば、何を言っても考えは変わらないだろう。
そう思ったシカマルは何も言えなかった。
再び嫌な空気が漂い始める、
「店主! 茶を持て! それと栗善哉を2人前だ!」
かと思いきや、暖簾を潜った女が開口一番偉そうに叫び、子供達の視線が集中した。
「「「玉藻さん!?」」」
「・・・・・・どうも」
「む? お前達はこの間の・・・・・・奇遇だな。 ・・・・・・時に、そこの小娘共は何を泣いておるのだ?」
いのとヒナタは不思議そうな顔で見下ろされ、慌てて涙を拭った。
「まぁここで会ったのも何かの縁だ。 話してみろ」
『何でもない』と虚勢を張る子供達を見やり、正面の椅子に腰掛ける。
そして玉藻は、2人が落ち着くまでゆっくりと待つ事にした。
暫くして、話を聞いた玉藻は子供達に興味を抱いた。
基本的に人間などどーでもいいと思っているが、目の前の子供達はナルトを心から想ってくれている。
つい先日も、茶飲み友達の三代目から、彼等がナルトの事を調べまわっているとは話に聞いていた。
それ程真剣に考えてくれるのならば、真実を話す事は出来ずともせめて不安くらいは取り除いてやろう。
玉藻はそう思い、湯飲みを置いて穏やかな声で語りかける。
「別にお主らを信用しておらんわけではないのだ。 ただ・・・巻き込みたくないのであろう・・・」
「・・・巻き込む?」
ヒナタは鼻を啜りながら充血した瞳を向けた。
「先日・・・里の中を歩いて何か気付いた事はなかったか?」
「・・・わ、私・・・気絶してました・・・」
「そ、そうか・・・・・・ゴホン! ではそこの小僧、おぬしはどうだ?」
質問した玉藻は微妙な答えを返され、咳払いをしつつ慌ててシカマルに話の水を向ける。
「・・・すれ違う連中がオレらのこと、胸糞悪い眼つきでみてましたね・・・
・・・・・・いや、あれはオレらじゃなくてナルト1人を見てた・・・
・・・やっぱナルトが殴られてたのもそれが関係してんスか?」
「そうだ」
シカマルが先程立てた仮説を述べ、玉藻はその鋭さに内心驚嘆しながら頷いた。
「けど何で!?
確かに騒がしい奴・・・・・・って言っても最近はそうでもねーけど、とにかくそれだけじゃ理由にならねーんスよ!!
あいつが意味もなく嫌われる奴には思えないんスよ!」
自分の推測が合っていたとしても、それは喜べるような内容ではない。
シカマルは一気に捲くし立て最後に歯を擦り合わせた。
「意味などない。 この下らぬ里の下らぬ人間共は、【うずまき ナルト】という存在そのものを憎んでいる。
顔も、声も、表情も、仕草も、行動も、人格も・・・・・・おそらくは息をしていることすら否定しておるだろうな・・・」
しかし、静かな怒りを込めて次々と紡ぎ出される言葉。
この間の調査で嫌われているとは分かったが、これ程までに酷いとは予想していなかった。
「どーしてよ!! どーしてそこまで憎まれなきゃいけないのよ!! ナルトが何したってゆーのよ!!」
ナルトへの信じがたい冷遇に、いのの瞳から大粒の涙が溢れた。
いのが知るナルトはいつも明るかった。
そんな扱いを受けている事がまるで嘘のように、どんな時でも優しかった。
「先に申した通り、意味もなければあやつが何かしたわけでもない・・・・・・・・・私のせいだ」
玉藻もそれが分かっているから尚更辛かった。
「では何故、アナタがナルトを護る?」
目を伏せた玉藻にシノが問う。
すると顔を上げ、胸を張ってこう返した。
「それが私の全てだからだ・・・あやつが【うずまき ナルト】である限り、私は私の存在を賭けてあやつを護る・・・!」
迷いも恐れも無く、一切の躊躇いを感じさせぬ瞳。
身に纏った神々しいまでの威厳を持って・・・。
「もし、たちはだかる者があれば・・・・・・・・・それが誰であれ・・・それが例え神であろうとも・・・・・・」
淡々と告げられた言葉が一度途切れ・・・、
「・・・皆殺しだ」
威圧感と共に紡ぎ出された。
「「「・・・・・・」」」
「・・・・・・それは償いなのか? それともナルトの境遇を哀れんでの同情か?」
子供達は言葉を失う中、気圧されながらもシノは尋ねる。
「哀れみや慰めなど何の役にも立たん。 ・・・あやつはそんなモノなど求めてはおらん。 ・・・償いもな・・・」
それに玉藻は首を横に振り、席を立ち上がった。
「・・・・・・少しお喋りが過ぎたな・・・・・・。
この先を私の口から言うわけにはいかん・・・・・・これはあやつの問題だ。
真実を語ってよいのは当人だけだ。 ・・・・・・あやつが語ろうとしない以上、私が語れることは何もない」
「あ・・・あの・・・ナルト君は、どうすれば話してくれるんですか・・・?」
背を向けて立ち去ろうとしたところをヒナタが呼び止める。
「・・・・・・強くなれ」
玉藻が振り向きざまに一言だけ呟く。
「・・・強く・・・ですか?」
「ああ。 誰にも負けぬ程、何にも砕けぬ程。
それをあやつに証明してみせろ。 さすれば、いずれは話してくれるだろう・・・」
「・・・・・・・・・」
「私は力ではなく、心の在り方を言っておるのだ」
力の無さを悔やみ口を噤んだヒナタを静かに諭す。
ナルトの傍に立ちたいのなら、まず挫けない心を持て。
それが出来なければ真実を知る資格はない。
生半可な同情で傍にいても、それは辛いだけで何の役にも立たない。
それどころか、子供達が傷付く事でナルトが心を痛めるのなら、最初から係わらない方がお互いの為だ。
玉藻はそう言って、話は終わりだと店を出ようとした。
「あ・・・あ・・・あのっ!! わ、わ、私を・・・・・・! 私を弟子にして下さい!!」
するとヒナタは大声で叫んだ。
引っ込み思案のヒナタからは考えられない行動に、玉藻だけでなく道行く人々までも振り返った。
「ちょ、ヒナタ!?」
「・・・オレも頼む」
止めようとしたいのの前にシノが進み出て頭を下げる。
「お、おい!! お前まで何言ってんだよ!?」
ヒナタとシノのいきなりの行動に、シカマルの頭は激しく混乱していた。
突然の事態に慌てふためく2人とは対照的に、玉藻は面白そうにしている。
―大人しい小僧と小娘かと思ったが・・・・・・中々どうして・・・。
自分自身、突拍子もない行動をする事が多々あるが、これには驚かされた。
「・・・・・・本気か? ・・・・・・言っておくが、私はおぬしらの担当程優しくはないし、死ぬ程辛いぞ?
それでも耐えられるか? いや、耐えて見せるのか? それ相応の覚悟はあるのだろうな?」
だが、だからと言って簡単に承諾する筈もなく、プレッシャーを掛けて2人の覚悟を試す。
「・・・構いません! 必ず耐えて見せます!!
・・・・・・・・・私・・・私・・・・・・強くなりたいです!!
今はダメでも・・・・・・いつかきっと・・・ナルト君を護れるようになりたいんです・・・!!!」
肌に突き刺さる視線、全身に圧し掛かる圧迫感を前にしても、ヒナタの決意は固かった。
玉藻が言った『心の強さ』。
それこそが、ヒナタが本当に欲しいと望んだ強さだった。
ナルトが殴られている事を知りながら、『やめて』 と叫べない自分を変えたい。
その為なら例えどんな道でも乗り越えてみせる。
彼女の純白の瞳が、そう物語っていた。
「あなたが言うように・・・ナルトが真実を話してくれるのなら、やり遂げてみせよう」
シノも臆する事無く玉藻の目を見返す。
気の弱い幼馴染が戦っているのだ。 自分が逃げる事など出来る筈がない。
いや、逃げる気など更々ない。
「!! ・・・そっか・・・・・・そうよね!」
「い、いの・・・・・・まさか・・・!?」
ヒナタ達の様子に戸惑っていたいのも、次第に闘志が湧いてくるのを感じた。
隣ではシカマルが怯えているが、そんな事は知った事ではない。
「玉藻さん! 私もお願いするわ!!
ふふふ・・・やってやろうじゃない・・・! 覚悟してなさいよー、ナルトー!!」
いのは天井に向かって拳を突き上げた。
ナルトに話す気がないのなら、嫌でも話す気にさせてやる。
少しノリが間違っている気がしないでもないが、やはり一度やると決めたら何があっても止まらない。
いかにその過程が辛くとも、持ち前の負けん気で跳ね返てみせるだろう。
・・・・・・案外ナルトとの相性は好いのかも知れない。
かくして、それぞれ反応は違うものの、やる気の方は十分感じさせてくれる子供達。
「ところで小僧、おぬしはどうするのだ?」
「い!? オレ!?」
そんな中、未だ混乱していたシカマルに、玉藻が尋ねた。
「私はどちらでも構わんぞ?」
「いや・・・構わんぞ・・・って言われても・・・」
シカマルは口篭る。
こんな重要な事をこんなノリで決めてもいいのだろうかと悩む。
選択を迫られたシカマルは冷汗を流したが、彼の仲間は悩む時間すら与えてくれなかった。
「シカマル〜? アンタ、ナルトとは仲良いでしょ? このまま引き下がっていいわけー?」
「シ、シカマル君! ファイト!」
「・・・男を見せろ」
もしもこの状況で断れば、幼馴染のいのや無口な友人は、自分をチキン呼ばわりするだろう。
「ぐ・・・クソ!! いいぜ!! やってやろーじゃねーか!!」
したがってシカマルには始めから選択権などありはしなかった。
それにしても彼自身、こんなわけの分からない事になるとは思っていなかっただろう。
「ふむ、覚悟は決まったようだな。 ・・・・・・・・・よかろう! では明日から修行を始める!!
集合場所は火の森、時間は特に指定せぬ! 任務が終わり次第、もしくは休みの日に訪れるがいい!!
それから、もしも来られない場合は、前もって欠席の理由とその旨を連絡する事! 分かったか!!」
やがてやる気満々の玉藻が仁王立ちで檄を飛ばし、
「「はい!!」」
「・・・了解」
「・・・うす」
子供達が直立不動の姿勢で返事を返した。
「フッ・・・覚悟しておけよ?」
玉藻はその返事に頷くと、何を想像したのか1人悦に浸ってほくそ笑んでいた。
こうして子供達は、連日に渡った調査の結果、弟子入りという奇妙な形で真実へと近づいたのだった。
―翌日の夕方―
「「「「よろしくお願いします!!!」」」」
火の森にある木々の開けた場所に、元気の良い大きな声が木霊した。
子供達は腰を90度に曲げ、真剣な態度で修行に臨もうとしている。
各々の表情には確かに気負いもあるが、それでも友の為に強くなろうとする姿は何物にも代え難く、尊く美しく見える。
そしてそれぞれが瞳に決意を宿し、凛々しい表情で、眼前にたたずむ自分達の師を見据えた。
だが、その師匠・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・何で俺が?」
何故か弟子を持つ事になった1人の狐は、誰も答えてくれない問いを静かに呟いたのだった。