NARUTO
〜九妖忍法帳〜 08話目
―アカデミー・合格者説明会―
「おう、お疲れさん」
俺は片手を上げて知り合いに挨拶をして席に座る。
「ナルト?・・・・・・なんでお前がここにいんだよ?」
「・・・おはよう」
とりあえず、この2人のことを紹介しよう。
まずダルそうにしているのが【奈良 シカマル】12歳♂
ついこの間まで護衛対象だった影使いの一族、【奈良家】の跡取り。
極度のめんどくさがりで普段からやる気が無いが、やるときはやる男だと俺は思う・・・・・・・・・・・・・・・多分。
どこか人生を悟ったような感じで精神年齢も高い為、アカデミーのクソガキよりは付き合いやすくわりと仲が良い。
ちなみにアカデミーの成績は下から二番目だが、その気になればそこそこ上の方を狙えるはず。
家にも何度か行った事があるが、両親共々とても親切にしてくれた。
次に、無愛想だが挨拶をを返してくれたのが【油女 シノ】12歳♂
シカマル同様に護衛対象だった蟲使いの一族、【油女家】の跡取り。
振る舞いは12歳とは思えない程冷静沈着。
無口で無表情だが、何故か俺には好意的でよく話しかけてくる。
俺としてもアカデミーのガキ供よりはかなり好感がもてるので、仲良くしている。
アカデミーの成績は上から2番目と優等生、多分実践に出したとしてもそこそこ動けるはず。
以前、家に呼ばれた時は、シカマルの家同様にとても親切にしてもらった。
「・・・・・・色々あって卒業できてな」
この間は本当に大変だったなぁ・・・・・・主にアンコとかアンコとかアンコとか・・・・・・思い出したらヨダレが。
「・・・・・・・・・なにニヤニヤしてんだよ」
え? 俺そんな顔してたのか? いかんいかん!
「・・・おめでとう・・・」
「おう、ありがとなシノ」
うんうん。 シノは良い奴だなぁ。 ・・・・・・今度、欲しがってた最新の昆虫図鑑でも買ってやるか。
「・・・・・・雰囲気が変わったようだが・・・・・・」
「めんどくせーが、オレもそう思ったぜ。 ・・・お前、口調も違うしな」
「まぁ・・・卒業して落ち着いたってとこだな」
「ふーん」
「・・・そうか」
無論これは大嘘だ。だって元々こっちが本来の俺だし。
なんかこの間のイルカ先生との1件以来、ぶっちゃけバカのフリをするのがめんどくさくなった。
無論実力を出す気は無いが、口調ぐらいは素でいても問題は無いだろう・・・・・・・・・・・・まぁ深く気にしないでくれ。
「あら、ナルトじゃなーい?」
「・・・ナ・・ナルト君・・・・・お、おはよう・・・」
「おう。 いのにヒナタ。 おはよう」
またまた知り合いの登場。
「いの・・・・・・ずいぶんと珍しい組み合わせだな?」
「確かに・・・・・・どうしたヒナタ・・・?」
シカマルがいのに、シノがヒナタに話しかける。
シカマルといのは幼馴染、シノとヒナタもまた幼馴染。
俺の見たところ、お互いに恋愛感情は見られない。
「・・・こ・・ここに来る途中で・・・その・・・山中さんと・・・・・」
「途中で会ったから一緒に来たのよ〜、ね? ヒナタ♪
・・・それと山中さんって堅いから、いのって呼んでくれる?」
「う、うん! ・・・いのちゃん・・・」
女同士の微笑ましい友情が生まれたところで、2人のことを紹介しよう。
いのと呼ばれた明るく活発な女の子は【山中 いの】12歳♀
これまた護衛対象だった花屋兼忍御用達の毒草屋、【山中家】の一人娘。
好奇心旺盛でお転婆という表現がぴったりな、くの一クラスのリーダー的存在。
それでいて、弱い者イジメを嫌いイジメっ子を叩きのめしたりする筋の通った真っ直ぐな子である。
年の割に精神的に大人びていて、アカデミーの中でもスタイルは良い方。 ・・・・・・・・・最近の子は発育良いからなぁ。
あと2〜3年もすればきっと美味しく・・・・・・ゲフン! ゲフフン!!
いや失敬!きっと素敵なレディに成長するはずだ。
年相応に色事に興味があるらしく、うちはのガキの追っかけをしてはいるが陰ではちゃんと修行しているようだ。
こいつの家、【やまなか花】には頻繁に買い物に行っているので、親父さんとは顔見知りで色々と世話になってる。
で、いのの後ろにいる引っ込み思案の子が【日向 ヒナタ】12歳♀
同じく護衛対象だった木ノ葉最古の名門、【血継限界 白眼】で名高い【日向家】の長女。
大人しい性格で人見知りが激しいが、他人を気遣える心のやさしい子。
アカデミー入学当初はただウジウジしているだけだったので嫌いだったのだが、ある日を境に自分を変えようと努力し始めたのでそれ以降は好感が持てるようになった。
年相応に可愛らしく優しい笑顔で笑うので見ていて癒される。
ついでに、12歳にしてCカップと将来有望。
いの同様にあと2〜3年もすれば素敵なレディに成長するだろう。
また、いのには無い家庭的な一面もあるのでポイントはかなり高い。
ただ、ヒナタ本人には問題は無いのだが・・・・・・こいつの親父がなぁ。
・・・まぁ、それはまたにしよう。
ちなみにこいつ等の両親・・・つまり旧家の当主達だが、どうやら14年前の事件当時は最前線で戦っていたたしく、俺の中に玉藻が封印された経緯を知っているようだ。
そのため、俺のことを憎んだりせずに1人の人間として扱ってくれる。
無論俺の本性や玉藻のことは知らないが。
まぁそれはさておき。
子は親の背を見て育つと言う様に、他の奴らと違って旧家のガキんちょは自分の親を見習って俺の人格を否定したりはしない。
ただ・・・・・・・・・悲しいことに長年バカのフリしてたせいで年上としては尊敬されねぇんだよ、これが。
特にうちはの糞ガキに至っては、俺のこと完っっっっ全に見下してやがる!
・・・・・・まぁ、あのガキの性格をゴチャゴチャ言っても始まらん、話を元に戻そう。
「アンタが何でここにいるのよ? 留年したはずでしょー?」
「説明がめんどくせーが、色々あって卒業できたんだとよ」
シカマルが本当にめんどくさそうに説明してくれた。俺としては手間が省けて助かったのだが。
「・・そ・・卒業おめでとう・・・・・・ナ、ナルト君・・・一緒にがんばろうね・・・」
「ははは、ヒナタありがとう」
俺はそう言ってヒナタの頭を片手で軽く撫でた。
俺はロリコンではないので、別に下心とかはなかった。
「ひゃ!」
「・・・・・・・・・」
「「・・・・・・・・・」」
・・・・・・・・・ヒナタは性格上仕方ないが・・・いの・・・何故お前まで照れる?
シカマル、シノ、『なんか悪いモンでも食ったのかコイツ?』って顔はやめろ。
「ちょ、ちょっとアンタどうしちゃったのよ!? 性格が全然ちがってるじゃない!!!」
しかしすぐさま固まっていたいのが騒ぎ出した。
・・・・・・まぁいきなり素を出したんじゃ仕方ねぇよな。
「ナルトが言うには、卒業して落ち着いたんだとよ」
ここでまたシカマルがいのに説明してくれた。 ・・・・・・・・・シカマル、どうもありがとう。
「・・・ナルト君・・・大人の人みたい・・・」
「そ、そうかも知れないけど! これじゃまるで別人じゃない!!」
「・・・・・・オレはこっちの方がいい」
「・・・うるせーな、ナルトはナルトだろうが」
ヒナタ・・・大人ってのは、この里の大人のことじゃないよな?・・・・・・・・・まぁ、ヒナタに悪気は無いんだろうから別にいいけど。
いの・・・物事を柔軟に考えないと後々苦労することになるぞ?・・・・・・・・・俺は凄く苦労してる(主に人間関係で)
シノに悪気は無いんだろうが・・・。 それはどういう意味なんだ?
シカマル・・・嬉しいこと言ってくれるなぁ。 お兄さんグッと来たよ。
いのは納得してないって顔だったが、他はわりとすんなり素の俺を受け入れてくれたようだ。
「ちょっとそこの席通してくれる!」
俺達4人が話してたら、横から頼みではなく無礼極まりない命令の声が聞こえた。
「あん?」
「・・・・・・・・・・・・」
「は、春野さん・・・!」
「あら? サクラじゃなーい」
案の定というかなんと言うか・・・やっぱり春野か・・・・・・。
「いの? なんでナルトと一緒に・・・・・・まぁいいわ! 今はそれどころじゃないもの!」
かなり不本意だが一応紹介しよう、こいつは【春野 サクラ】12歳♀
ごく普通のアカデミー生で、コイツの親や他同様に俺を嫌ってるガキの1人。
まぁ好かれようとも思わんが。
性格はわがまま、アカデミーの成績(学科)は優秀だが体術も忍術もあんまりパッとしない。
実力が足りねぇのに修行もしねぇ、色に狂ってうちはのガキにまとわりついてるぶっちゃけ嫌いなタイプ。
いのとはライバルらしいが、『だったらいのやヒナタを見習って、ちったー修行しろっつーの』って感じだ。
俺も俺の師匠も重度の色ボケではあるが、日頃の修練を疎かにするようなマネだけは決してしない。
見てくれはそこそこ良いが中身が伴ってないガキなので、全く興味がない。
「ナルト、どけ!私はアンタの向こう側に座りたいのよ!」
「はいはい・・・・・・ドーゾ」
相変わらず礼儀を知らんわがままなガキだと思いつつも、こんな奴と口論する気も更々無いので道を空けた。
「ったく・・・クソめんどくせー」
「・・・ご、ごめんなさい・・・!」
シカマル、全く持ってお前の言うとーりだよ。ヒナタもこんなのに謝ることないのになぁ・・・。
「「・・・・・・・・・・・・」」
シノはわかるが、いの? なんでお前まで黙ってんだ?
てっきり春野に突っかかっていくと思っていたが、いのは全くの無反応・・・・・・て、何故そこで俺を見る?
まぁいい・・・・・・道を空けた俺達に対して礼の一つどころか視線の『し』の字も向けずにお目当ての席を目指す春野。
はぁ・・・、ホント親の顔が見てみたいよ。・・・・・・見たとこでどうせ碌な奴じゃないんだが。
どうせお前の目当てはうちはだろ?
予想通りの単純な行動。春野は俺達から少し離れた場所に座っていたうちはに擦り寄っていった。
・・・・・・・・・心の底から嫌だがお情けで紹介してやる、【うちは サスケ】12歳♂
死ぬほど嫌だったが一応護衛対象だった。俺の大嫌いな木ノ葉の名門【うちは家】の末裔。
アカデミーの成績は常にトップで最近のガキ供の中では優秀だが、イタチと比べたら月とスッポン・・・・・・・・・いや、比べるだけイタチに失礼だな。 すまん、イタチ。
性格は自己中心的・甘ったれ・世間知らず・礼儀知らず・身の程知らず・そのくせスカしてっから見てるだけで胸糞悪くなってくる。
その上1人で悲劇のヒーロー気取ってるんで見ててバカらしくなってくる、コイツには任務でなければ近づこうとも思わん。そんだけ。
「なんだよ?」
ふと、うちはの方を見てたらガン垂れてきやがったので少しムカついた。
「ナ、ナルト君・・・抑えて」
ヒナタが少しビクつきながらも、俺を止めようとしてくれた。
「ああ、元から相手にする気ないから安心しろ、な?ヒナタ」
バカのフリしてた時なら嫌々ながら突っかかっていくのだが、もはやその必要も無いので爽やかに無視!
ああっ! 自分を偽らないって素晴らしい!! だってこのガキの相手しなくていいんだもん!
うちはを無視してヒナタと談笑する俺の態度がお気に召さなかったらしく、うちはが殺気を向けてきたがこれも鮮やかに無視!
「お前・・・マジで落ち着いたな」
「・・・・・・その方が静かでいい」
「シノ・・・何気に失礼だな・・・否定できんのが悔しいが」
「・・・いのちゃん・・・いいの?」
ヒナタが心配そうな顔でいのの顔色を伺う。
確かにさっきからいのの様子がおかしい。
「なにが?」
「・・・うちはのもとに行かなくていいのか?」
ヒナタの言葉をシノが引継ぎ、視線をいのに向けた。
俺もそれは疑問に思っっていたところだ。
「ああ、いいのよシノ・・・今日はそんな気分じゃないし・・・」
―何かさっきからサスケ君よりもナルトの方が気になるのよね・・・・・・・・・
それに今まで気づかなかったけど・・・ナルトって静かにしてればいい男よね〜。
だから、なんで俺を見んのかね? ・・・しかも若干顔が赤いし。
「マジかよ・・・・・・雪でも降るんじゃねぇのか?」
シカマル・・・・・・俺もそう思うが、流石に口に出したらまずいだろ。
「シカマル・・・・・・なんか言った?」
すかさずいのがシカマルの言葉に反応して、鋭い視線を投げつけるとシカマルは冷や汗をかいてビビっていた。
それからしばらく4人で話していたら、扉が開いてイルカ先生が教室に入ってきた。
「お前ら―――!みんな席に着け―――!!」
イルカ先生の呼びかけで騒がしかったクラスは静まり、教室にいた全員が席に着いた。
「今日から君達は、めでたく一人前の忍者になったわけだが・・・。
しかし、まだまだ新米の下忍! 本当に大変なのはこれからだ!」
説明会が始まり、教卓の前のイルカ先生が下忍の心得について淡々と語ってはいるが、俺としてはすでに分かりきった事なので結構どうでもよかったりする。
・・・・・・現役の暗部が下忍の説明会に出るってのもどうかと思う。
だが説明役がイルカ先生なので、一応の礼儀は弁えて大人しく聞いている。
「え――・・・これからの君達には里から任務が与えられるわけだが。
今後はスリーマンセルの班を作り・・・・・・。
各班ごとに上忍の先生が付き、その先生の指導のもと任務をこなしていくことになる」
―ちぃ・・・スリーマンセルか、足手まといが増えるだけだな・・・
嫌そうな顔をするうちはを見て、『こいつと組まされる奴は大変だなぁ』とかなり気の毒になった。
―絶対!! サスケ君と一緒になるわよ!!
拳を握り締めて意気込む春野を見て、『お前は何の為に忍を目指してるんだ?』と一度頭の中を覗いて見たくなった。
「班は力のバランスが均等になるように、こっちで決めた」
「ええ――――――!!!」
ガキ供が不満の声を上げて、教室が一気にやかましくなった。
仲良しグループで班を決めるとでも思ってんのか? んなわけねぇだろうが、遠足じゃねぇんだぞ・・・。
俺は下忍とはいえ任務に対する覚悟も緊張感も感じられないガキ供に、思わずため息が出そうになった。
大体、お前等程度の実力じゃ誰と組んでも大して変わらんだろうに・・・・・・。
はぁ・・・本当にここは平和ボケした里だ。
もっとも俺以外にとっては・・・だがな。
イルカ先生が手元の名簿を読み上げ、班決めは名前を呼ばれたガキ供が一喜一憂しながら進んでいった。
「じゃ次、第7班うずまきナルト・・・・・・」
それも終盤に差し掛かり、ようやく俺の名前が呼ばれた。
ただ、うちはと春野も未だに名前を呼ばれていないで少し嫌な予感がした。
決まった時は文句は言わんが、できればあいつ等とは組みたくないと思ったのだが・・・・・・
「・・・春野サクラ」
げっ! 嫌な予感的中!!
まぁ、向こうも同じように嫌がってるからお互い様だな。
決まったモンは仕方がない、残る1人に期待しよう。
・・・・・・・・・しかし、これでもう1人がうちはだったら最あ「うちはサスケ」
ガン!!
春野が両手を振り上げて喜ぶ中、俺はあまりのことに机に額を叩きつけてしまった。
―よりにもよってこいつ等かよ!!!!
俺の悲痛な心の叫びが聞こえたのか、シカマルとシノが気の毒そうな顔でこっちを見ている。
―何かここまで最悪の組み合わせだと、偶然を通り越してむしろ悪意を感じるよなぁ・・・・・・。
知識はあっても知恵も力も足んねぇ上に、自分の思い通りにならねぇとすぐに血が上るヒステリー持ちの春野に。
アカデミーの中でトップってだけで天狗になってる井の中の蛙、その上協調性の欠片も見当たらねぇうちはだろ・・・。
この2人に加えて担当上忍がアスマにでもなった日にゃあ間違いなくストレスでノイローゼになっちまうな。
あーあ・・・こんなことならアンコの言うとおり留年して、アンコに担当になってもらった方が良かったなこりゃー・・・・・・。
そうしたら里外任務にかこつけて公然とデートできたし、泊り掛けの任務のときには思う存分夜のお楽しみが・・・・・・。
俺は思わず心の中で愚痴を並べ立ててしまった・・・・・・・・・後半のほうは殆ど願望というか妄想だけど。
ふと顔を上げると、周りのガキ供が青い顔をして俺の方を見ていた。
「・・・・・・・・・・・・ナルト、声に出てたぞ・・・(滝汗)・・・」
え? まじで?
冷や汗をかいて、思いっきり顔を引き攣らせたイルカ先生が親切にも教えてくれた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・あの〜、ちなみにどの辺まで?(汗)」
前半部分はどんだけ聞かれても一向に構わんが、流石に後半を聞かれた日には・・・。
「・・・・・・最後の方は聞き取れなかった・・・・・・」
地獄耳のシノに聞こえなかったのなら問題ない、とりあえず妄想の部分は聞かれなくて良かったぁ・・・・・・。
「めんどくせーが・・・前半はばっちり聞こえてたぞ」
だがシカマルの言うように、前半がばっちり聞こえた2人が面白いぐらい反応してくれた。
「誰がヒステリーよ!!!」
他に誰がいる? お前だよ! お・ま・え! 鏡見ろっつーの!
「あははははは!! うまいナルト! アンタ最高!!!」
「なんですってー!!!!」
額にデッカイ青筋を浮かべて怒り狂った春野を見て、いのが腹を抱えてカラカラと大笑いしている。
「・・・井の中の蛙だと!? ・・・ふん、試してみるか!! ダブリが!!!」
「おんや? 本当のこと言われて気に障ったのかな?」
ニヤニヤ笑いながらサスケの神経を軽〜く逆なでしてやったら、本人ではなく他の連中が食いついてきやがった。
「サスケ君! そんな奴やっちゃいな!!」
「そーよそーよ!」
「ダブリのクセにサスケ君に文句言ってんじゃないわよ!!」
「ナルトの分際で誰に向かって口利いてんのよ!!!」
「うちはと春野にだが? ・・・否定できんのかなキミ達?」
自分で見たらグーで殴りたくなるような嫌な笑みを浮かべて、5年間アカデミーに通って溜まりに溜まったストレスをここぞとばかりに吐き出してやった。
そしたら面白れぇ面白れぇ、顔を真っ赤にして怒ってやんの。
ば〜か、お前等なんぞ相手にもならんわ!
俺が日頃どんだけ非常識且つ理不尽な連中の相手をしると思ってんだ!!! 出直して来いカス共!!
そして普段からチヤホヤされることはあっても、面と向かってバカにされた事が無いのか、軽口一つで頭に血が上った短気なうちは。
「てめぇ!!!」
完全に我を忘れて席を立ち上がり俺に向かって殴りかかってきた・・・・・・・・・。
「・・・・・・」
「・・・・・・・・・シノ?」
が、拳を振り上げたうちはの前にシノが立ちふさがった。
「シノ! そこをどけ!!」
「断る」
「なんだと!!」
思わぬ邪魔が入り、うちはの怒りがさらにヒートアップしていく。 ・・・あ、後ちょいで血管切れそうだ。
「オレに二度同じことを言わせるな・・・・・・ナルトに手を出すのなら、お前の相手はオレがしてやる」
庇って貰っといてなんだが・・・・・・ホント、シノって何考えてんのかわかんねぇんだよなぁ・・・。
まぁともかく、シノの殺し文句が駄目押しとなり、ただでさえ耐久性の無いうちはの血管がプッツリと切れた。
「・・・おもしれぇ! やってみろよ!!」
「・・・・・・・・・」
標的が俺からシノに代わり、うちはが殺気を込めてシノを睨みつけるが、シノは表情を変えることも無くそれを受け流し無言で構えをとる。
2人の殺気が高まり、闘気が渦を巻き互いの間に火花が散り始め、周りの空気がグニャリと歪んで行く。
その様子を見た他のガキ供はいっせいに避難し始める。
「「・・・・・・・・・」」
お互いの実力は五分と五分・・・・・・・・・・・・個人的にはシノを応援するが。
周りの奴らはこう着状態が続くと思っているがそれは無い、なぜならうちはは自分を過大評価するし、シノは冷静だが今日は意外と好戦的。
当然短期決戦になる筈。
案の定2人の目が見開かれ、床を蹴って激突。
「お前等――――!!全員席に着け―――!!!!」
しなかった。
イルカ先生の仲裁によってうちはは舌打ちをしながら、シノは相変わらずの無表情で席に戻っていく。
「シノ・・・ありがとな」
「・・・気にするな・・・」
俺はシノの感情はあまり読めないし、何を考えているのかも良くわからんが、それでもやっぱりいい奴だと思っている。
俺が礼を言うとシノの表情が少しだけ緩んだ気がした。
とりあえず騒ぎは収まり、他のガキ供の手前イルカ先生が俺に班構成の基準について説明し始めた。
「・・・・・・サスケは卒業生27名中1番の成績で卒業。
ナルト・・・お前はドベ!
いいか!班の力を均等にするとしぜーんとこうなんだよ」
うちはが1番、俺はドベ、イルカ先生がそう言うと自分のちんけなプライドを満足させたのか、俺に嫌味ったらしい視線を向けてこう言った。
「フン・・・せいぜいオレの足引っぱってくれるなよ、ドベ!」
やたらと最後の一文字に力を込めて勝ち誇っていたが、軽く『すごいすごい』と拍手してやったらまたもや血管が切れそうになってた。
あははははは!! 震えてるよこのバカ!!!
でも、イルカ先生は班のパワーバランス云々ともっともらしいこと言ってたけど、『だったら何で残りの班は旧家のガキんちょ同士でくませてんだよ?』と思たので、他の奴にばれないようにイルカ先生と視線だけで会話をした。
俺とイルカ先生の会話の内容は次の通り。
(なぁなぁイルカ先生、班の構成ってはなっから決まってただろ?)
(ああ、上層部の決定だからオレにはどうしようもない・・・・・・諦めろ)
(ああ!最悪! ・・・・・・・・・ねぇ班員同士のトレードってアリなの?)
(ナシに決まってんだろ!!! こうなったのも全部自業自得だ!)
(あーあ・・・せめて担当くらいは美人がいいなぁ・・・・・・紅さんとか)
(何を下らんことを考えとるんだ! 大体お前はまだ14だろうが!!!)
(イルカ先生も人のことは言えねぇんじゃねぇの?)
(な、何のことだ!?)
(・・・一楽・・・アヤメ姉・・・閉店後・・・さぁこれなぁんだ?)
(お、おま、お前誰からそれを・・・!?)
(さぁ?誰だと思う?)
(・・・・・・・・・・・・・・・(滝汗)・・・)
(・・・・・・適当にカマかけただけだよ・・・・・・イルカ先生マジでやってたんだ・・・)
(・・・お前なぁ(怒)・・・・・・まぁいい、とにかく頑張れよ・・・)
(うす・・・まぁ疲れない程度に頑張るよ)
とまぁこんな感じで、現在イルカ先生の顔から生彩が感じられず、顔は思いっきり引き攣っている。
「・・・じゃ・・・みんな午後から上忍の先生を紹介するから・・・・・・それまで解散・・・・・・」
いつものイルカ先生らしくない、覇気が無くどこか投げやりなセリフでその場はお開きとなった。
アヤメ姉との愛の補習授業がバレたのがそんなにショックだったんだろうか?
昼休みが始まりガキ供はそれぞれ昼食を摂るために教室から出て行く。
俺はシノに一緒に食おうと誘われたので、連れ立って教室を出ようとした。
「あ、あの・・・ナルト君・・・・・・よ、よかったら・・・・・・い、いっしょに・・・」
扉を開けようしたら、ひどく脅えた様子のヒナタに引き止められたので振り返った。
顔を伏せて懸命に言葉を搾り出そうとしているが、元々引っ込み思案のヒナタは思うように言葉が出てこないようだ。
「ヒナタ・・・慌てなくても良いから、ゆっくりと話してくれ・・・・・・な?」
ヒナタは性格上人と話をするのが苦手なので、気長に構えて待っているのが一番良い。
落ち着いて話をできるように軽く頭を撫でて、言葉の続きを待つ。
すると、目を閉じて何度か深く深呼吸を繰り返し、それを続けること約30秒。
今度は落ち着いたようで、ゆっくりと話し始めた。
「あのね、ナルト君・・・お弁当作ってきたんだけど・・・その・・・迷惑じゃなかったら・・・お昼一緒に・・・」
ああ、なるほど・・・そういうことか。・・・・・・・・・なんで俺が迷惑すんだ?
俺としてはヒナタを妹みたいに思ってるんで、昼飯ぐらいいくらでも一緒に食ってやるのに。
「わかった・・・・・・シノも一緒にいいよな?」
「うん・・・み、みんなで食べた方が楽しいよね・・・」
ヒナタはそう言ってとても暖かい笑みを浮かべてくれて、それを見た俺は日頃のストレスが激しく癒されるのを感じた。
わかりきった事だが俺のストレスとは、主に我が家の居候の非常識且つ突拍子も無い行動によって、必ずといっていいほど生じる二次災害・・・・・・つまりはとばっちりによる物である。
そんな精神的疲労を吹き飛ばすヒナタの笑顔を見て、俺は心底家のバカ供にも見習って欲しいものだと思った。
家の連中の普段の笑顔といったら、自信たっぷりな高飛車な笑みか、悪魔のようにどす黒い裏のある笑みの2種類にわかれる。
そんなもので誰が癒されるか!!
むしろ胃が痛くなるわ!
ああ、でもアンコや玉藻のアレの最中の笑み・・・いや・・・何でもないっス。
・・・・・・かなり話は脱線したが、とにかくヒナタの笑顔はとても温かいと言いたいわけだ。
俺はもちろん、表情が表に出にくいシノも、かすかだが笑っていた気がした。
「・・・よかったなヒナタ・・・」
「・・・うん、ありがとうシノ君・・・」
そして俺達3人は穏やかな空気のまま、昼食を摂るために中庭へ向かって教室を後にした。