NARUTO
〜九妖忍法帳〜 04話目




―火の森・うずまき邸の朝―

「ナルトー、まだねー?早よメシ食おうや〜!」

「夜空さ〜ん、お茶碗叩いちゃだめですよ〜。 御前様からもなんとか言ってください〜」

「やかましいぞ! 少しは静かにせい! ・・・まったく、昨今の若者ときたら・・・(ブツブツ)」

あ〜とりあえずは、この連中の事を紹介しよう。

最初に、言葉遣いが妙な箸で茶碗叩いてる片腕の男。

こいつは【星河 夜空(ほしかわ・よぞら)】(19)。

ムカツクことに182cmと長身。

髪は適当に伸ばしてそれを後ろで縛っているだけ、髪の色は薄い茶。

家に来る前は雲隠れで中忍をやっていたが、8年程前の任務中に左腕を失い、忍として役に立たないと里を追い出されたらしい。

頼れる身寄りも無く、行き倒れになってた所を俺が拾った。

片腕がない為印を組むことが出来ないので、通常の忍術や幻術は使えない。

そのため俺と2人で研究に研究を重ね、印の要らない特殊な術をいくつか開発した。

・・・本人は星河流忍術と呼んでいる。

ちなみにこいつが最も得意とするのは体術。

・・・・・・ハッキリ言って化け物。

俺も体術には自信があるが、こいつにだけは勝てない。

総合的な戦闘能力は俺にやや劣るものの、三代目のジィさんよりは確実に強いだろう。

でも普段はしまりの無い表情で落ち着きというものを知らない。

九尾の事を話した時『ふ〜ん』と流した変わり者。

まぁ多少変わっちゃいるが良い奴だ。

次。

間延びした声が特徴的な朗らかで可愛らしい女性。

【睦月 雪(むつき・せつ)

割とスタイルが良く、ショートカットで前髪で左目を隠している。

炊事、洗濯、家事全般を引き受けてくれる我が家の守り神的な存在。

愛称はせっちゃん。

やたらと非常識な人間(人外含む)の集まる我が家で、比較的マトモな常識人。・・・・・・ただよりにもよってガイに惚れてる以外は。

それはさておいて、彼女は元霧隠れの特別上忍で医療班に所属していた。

医療忍術の腕はかなりの物。

本人は戦闘は苦手と言っているが、一応里一番と言われてる【はたけ・カカシ】と同等の実力の持ち主。

戦闘用に改良を重ね創り上げた医療忍術で戦うのが彼女のスタイル。

でも攻撃系の忍術は余り得意ではない。

せっちゃんが家の一員となったのは6年程前。

霧隠れの忍だった頃、その才能を妬んだ仲間の裏切りにあって、瀕死の状態だったのを夜空が助けて家に連れて来た。

その時のそのままの流れで『あんなとこ、もうヤです〜!』と、里を抜けて以来家で暮らしている。

里抜けをわりと軽いノリでやってしまう人だが、受けた恩には報いる誠実な人。

では、最後。

やたらと年寄りくさい事を言っている、この女。

【玉藻】(推定年齢4000歳以上)。

170cmの長身と、B89・W57・H88というナイスバディを誇り、背中まである金髪を束ねている妖艶な美女。

俺の中に封印された最強の妖魔、金毛白面九尾の妖狐である。

同居人から御前様と呼ばれていたり、普通に食卓に座って昨今の若者について云々と独り言を言ってはいるが・・・・・・一応、元火の神の化身であり、現妖魔の長である。

なんでも宮廷暮らしが長かったとかで、やたらと礼儀作法に厳しい。

その玉藻(俺は呼び捨てにしている)がなぜ、当たり前の様に外に出てきているのかと言うと・・・。

ぶっちゃけた話、封印などとっくの昔に破れているのだ。

封印の効果が切れたのは俺が3歳の時で、俺はその時に初めて自分の中の玉藻の存在を知った。

封印がパーになってからの1年間、俺は外に出ようとする玉藻を自力で押し込めていた。

玉藻は最初は俺の体を乗っ取ろうと考えていたが、無理だと分かり諦めた。

で、里人の俺に対する仕打ちを見ている内に罪悪感が芽生え心変わりしたらしく、俺に対して好意的になってきた。

そして気が付いたら仲良くなっていて、色々な話をした。

俺の親父が四代目火影だとか、木ノ葉を襲ったのは自分の子が里の人間に殺されたからだとか・・・・・・。

それを聞いた時は本気で木ノ葉を潰してやろうかと思った。

そりゃそうだろう。

玉藻がやったのは正当な復讐で、里には潰されるだけの理由があったんだから。

多少やりすぎたかも知れんが、玉藻を怨むのは筋違いだ。

怨むならその連中を怨め。

俺は自分が憎まれる理由が馬鹿の尻拭いだと知った時から、木ノ葉が心底嫌いになった。

だからそれ以来、ある目的のために俺達は水面下で色々と動いている。・・・まぁ、それはまた今度にしよう。

以上のような理由で玉藻を俺の中から解き放ったわけだが、玉藻を解放したら何故か頬の三本線が消えた。

あと、封印していた影響で俺のチャクラは大きく変化した。

まず本来のチャクラと別に、妖魔のチャクラを持つようになってしまった。

でも俺本来のチャクラの5倍近くあるんで重宝している。

そっちは自分のチャクラが切れた時に使っている。

まぁ難点があるとすれば、玉藻もそうだが月に一度だけ妖魔のチャクラが激減することぐらいだろう。

別に命に関ることは無いから気にしてないが。

ちなみに玉藻の力は人型の時で俺と同等、本来の姿に戻れば今の二十倍は出るそうだ。

でも、今のところ木ノ葉を滅ぼす気は無いと言っている。

普段から里内をうろついてるが、玉藻が九尾だというのは、俺・アンコ・夜空・せっちゃんだけの秘密。

・・・・・・あと1人、俺のスケベな師匠も知っているが放浪癖があり此処にいないので除外。

以上3人が我が家の居候兼、俺の暗部時の姿、九妖が小隊長を務める暗部第9班のメンバーである。

どうでもいいけどこいつら、暗部やってんのに任務の時も面つけねんだよな・・・・・・それに俺の命令以外は死んでも聞かねぇし。

お陰で俺の部隊は俺も含めて、木ノ葉の七不思議の一つに数えられる始末。

そして、この3人と師匠・アンコ・ジィさん・テウチのオッちゃん・アヤメ姉・イルカ先生の9人が【俺=九妖】という事実を知る人たちである。









「っあぁ〜〜〜・・・ねみぃ」

アンコの妙な勘違い・・・と言うより被害妄想のおかげで俺は一睡もできなかった。

いやー、昨日はヒドイ目にあった。結局、家に帰ってきたのは明け方四時だったしな。

帰りついた後も紅さんとの仲をまだ疑ってたし、仕舞いには泣き出すし。

何とか最終手段で切り抜けたが・・・・・・。

俺はフラフラしながら自分の席に座る。

う〜マジでダリィ。

「それでは〜、みなさん手を合わせて下さい〜」

「あいよ」

「うむ」

「・・・・・・」(無言で従う)

・・・・・・今日の俺テンション低いな。

「いただきます〜」

「「いただきます!」」

「・・・いただきます」

食事が始まると同時に、夜空は豪快に、玉藻は上品に、せっちゃんはのんびりと、食事を進めている。

本日のメニューは、目玉焼き、鯖の塩焼き、大根の味噌汁、昨日の余り物と思われる肉じゃが、後は漬物が各種取り揃えてある。

せっちゃんは料理上手だから、家の連中から神の如く崇められているのだ。

「どげんしたとね? さっきから食いよらんけど・・・あれ? アンコもおらんね?」

一通り飯を食い終わって茶を啜っていた夜空が首をかしげた。

「・・・ちょっとな」

あんまりツッコまれたくない事をズバッと聞いて来やがった。

「昨日は帰ってきたの朝方でしたからね〜。アンコさんはまだナルトさんの部屋で寝てますよ〜」

「うむ、その後も随分とやかましかったな・・・・・・おかげで私は眠れなんだ」

「アンタ等、頼むからそれ以上言わないで下さい。」

「え? え? 朝帰り? 何ばしよったとね?」

うわ、興味津々って感じだなこのバカ。

玉藻、非難がましい眼で俺を俺を見るな。

せっちゃんもニヤニヤしないでくれ。

「え〜あんな大きな声がしてたのに寝てたんですか〜?」

「貴様・・・あの騒ぎの中、よく寝ていられたな・・・・・・忍としてはどうかと思うぞ?」

「ねぇねぇ!何があったとね!?」

―・・・・・・・・・駄目だ、こいつ等・・・。

今の俺にはこいつ等を止めるだけの気力がない、煮るなり焼くなり好きにしろって感じだな。

「あのですね〜。 ナルトさんが紅さんと浮気して〜、アンコさんを泣かせたんですけど〜」
「浮気!? せっちゃん! それで? どけんなったと!?」
「アンコの泣き声が小さくなったと思ったら、今度は段々と甘い声が聞こえ始めてな
 ・・・・・・あれは泣き声と言うより鳴き声だな」

「『あ〜ん』とか〜」

「『だめ〜』とかな」

「最後のほうは〜、『もう許して〜』とか〜」

「『ご主人様〜』とか聞こえておったな」

「何で、何でそん時起こしてくれんやったとー!!」

間違いない。家の居候供の辞書に『情け』とか『容赦』の文字は一切無い。そうに違いない。

しかも、何気に浮気したって決め付けんな!しとらんわボケ!!

目を血走らせた大バカ野郎の絶叫をよそに、俺のプライバシーが侵害されまくって、その場はお開きとなった。

玉藻は新聞を読み始め、せっちゃんは後片付け、俺はしつこく話を聞いてくるバカを無視して素早く飯を終わらせた。









はぁ・・・・・・一日の始まりが最悪になったな。

まぁ、紅さんの件に関しては全面的に俺が悪いんだけ・・・・・・。

去年の大晦日に火の国のお偉いさんが、木ノ葉の特別上忍以上の忍を集めて忘年会を開いて、その時にチョット・・・・・・。

ちなみに暗部連中も仮面はずして出席してたな・・・普段面つけてるから誰が誰だか判んないだろうけど。

『里の警備はどうすんだよ』って話だが、そのしわ寄せは中忍達やなぜか俺に来た。・・・一応俺も暗部なのに。

他の連中が酒かっ食らってる中、あのだだっ広い里を俺1人で見回ってたんだぞ!!・・・・・・影分身も使ったけど。

その時、家の居候連中はちゃっかり忘年会の方に逃げやがった。









―去年の大晦日―

・・・・・・十二月の風はとても冷たくて、アヤメ姉が

「ナルト君お腹空いてるでしょ?」

そう言って持って来てくれたオニギリと暖かいお茶を貰った時は、思わず土下座してしまった。(地面に頭を叩きつけて血が出たが)

後、見回りでアカデミーに行った時に偶然合ったイルカ先生に

「見回りご苦労様です。・・・良かったらどうぞ」

と笑顔で甘酒を勧められた時には、不覚にも泣いてしまった。(イルカ先生はチョットひいてたが)

苦しかったとですよ!そして寂しかったとですよ!イルカしぇんしぇー!!

・・・・・・よく考えたら、暗部の時もイルカ先生に世話になってるよな。

俺は2人の生き仏に出合ったことで、腹がふくれ、体は暖まり、心も弾んでいた。



・・・・・・いたのだが。二時間も経つと、再び腹が減り、体は冷え、心も沈んでいた。

何が悲しゅうて大晦日の町を1人でトボトボ歩かにゃいかんのだ!! しかも面つけて!!

そして年越しの鐘の音を聞いた瞬間、俺の中で何かが切れた。・・・・・・主に理性とかが。

九妖の時は人付き合いを大切に温厚誠実(その方が色々動きやすい)を心に決めている俺だが、この時ばかりは完全に切れた。

―俺1人に仕事押し付けといて忘年会だと!? ふざけるんじゃねぇぞ!!

殺す! ゼッテー殺す! 何が何でも殺す!!

丁度良い、初夢は病院のベッドで見るが良い!!

悪夢をなぁぁ!!

これは逆恨み等ではない! 正当な任務である!!

俺はチャクラを最大放出しながら、猛スピードで会場へ向かった・・・・・・。









―忘年会の会場―

会場は木ノ葉で一番でかいホテル。

設備も整っていて一泊の値段も相当なもの。

会場に着いた俺は、一応門番に暗部名と目的を正直に告げた。

―もし邪魔をするなら容赦はせん!!

だが以外にも『頑張って下さい!!』と快く通してくれた、彼等も俺と同じ思いのようだ。

まぁこのくそ寒い中、自分等が門番やってんのに中の連中のことを考えるとな・・・・・・・・・。

さて、後は存分に任務を遂行するのみ!!



参考までにターゲットの紹介をしておく。

@俺に仕事を押し付けた三代目火影。

A俺が苦労していた中、タダ酒、タダ飯かっ食らってたクソ野郎供。

B俺を見捨てた我が家の居候3名。

Cこれが一番重要、この忘年会を開いた張本人とそれを手伝った奴等。

D邪魔する奴!!                               以上!!










・・・・・・・・・・・・ドアを開けるとそこは異世界だった。

え〜と、状況を整理してみようか。

俺は自分の目を疑った。

はっきり言ってこいつらは、忍をバカにしてる。


何故なら、ここにいる99%の連中が泥酔しているからだ。

―忍が酔っ払うまで飲むんじゃねぇ!!

誰の仕業か知らんが、ホテルのホールはとっくの昔に滅茶苦茶になってるし。

5割がすでに酔い潰れて床で爆睡してる。・・・・・・これは別にいいだろう。

2割は酔った勢いで上司に愚痴ってる。・・・・・・まぁこれも怪我人は出ねぇからいいとしよう。

もう2割はその辺で吐いてる。・・・・・・かなり迷惑な連中だが百歩譲ってよしとしよう。

・・・・・・問題は残りの1割、悪酔いして暴れまくってる連中。

さらに問題なのは・・・・・・暴れてる連中が揃いも揃って普通の忍じゃないこと。

ここが滅茶苦茶になってるのは間違いなくコイツ等のせいだ。

元暗部のコピー忍者・・・何か色んな忍術を乱射してる。・・・・・・その内、鳩とかも出しそうな勢い。

木ノ葉の碧い珍獣・・・鏡の前、黒ビキニ一丁でポーズの練習中。・・・・・・ビキニのラインが際どい、そして見苦しい。

髭面の愛煙家・・・『く〜れ〜な〜い!』と泣き叫びながら、床を転げまわってる。・・・・・・幼児退行したらしく、不気味なので近づきたくない。

万年病弱男・・・何やら酔い止めと称して怪しげな薬を同僚に配ってる・・・・・・薬飲んだ連中が倒れてピクピクしてる。

里一番の老け顔・・・倒れた御意見番の耳元で何か囁いてる・・・・・・2人とも顔色が段々と青くなってる・・・洗脳してんのかな?

花屋の親父・・・嬉々として会場の料理を毒草で盛り付けしてる。・・・・・・解毒草も混ぜてるが9:1と、どう考えても割合がオカシイ。

悪人面の影使い・・・家族への土産のつもりか、色んなものを影に飲み込んでる。・・・・・・ただ、その辺で寝てる奴等も飲み込んでる。

自称ポッチャリ系・・・もの凄い勢いで料理食って酒飲んでる。・・・・・・それだけならいいが、巨大化するのは止めろ。

犬使い母娘・・・酔った忍犬が人を咥えて、力一杯振り回してる。・・・・・・笑ってねぇで止めろよ、飼い主だろアンタら。

人間昆虫博物館・・・普段からは想像出来ない程ハイテンション。・・・・・・これは放っておこう。・・・気味悪いから。

里一番の覗き魔・・・白眼発動させて、酔い潰れたくの一を凝視してる。・・・・・・娘が見たらグレるなこりゃ、後で殴っとこう。

一応里の最高権力者・・・これまた酔い潰れたくの一にセクハラしてる。・・・・・・勃ちもせんクセによーやるわ。

ちなみに、アンコと家の連中は何処にも見当たらない。

多分俺のチャクラを感じて逃げたと思われる。・・・見つけ次第ヤキ入れ決定。

こんな連中が里有数の実力者とは木ノ葉の未来は大丈夫なのだろうか?・・・どうでもいいけど。






出鼻を挫かれはしたが、次の瞬間俺の怒りは沸点を悠々と超えた。

とりあえず挨拶代わりに、対遠距離用に改良した螺旋丸を五発ほど同時に投げつけてやった。

一発で楽に死なれては困るので3割程度の威力に抑えはしたが流石Aランク忍術。

半分近くの忍が病院送りとなった。

しかし、ある程度の実力者は致命傷は回避したもよう・・・・・・ボロボロになってるが。

今ので酔いが醒めたのか、皆さん青い顔をしてこっちを見てる。

普段の温厚な九妖と余りにもかけ離れているからなぁ・・・。

「・・・・・・皆さんアケマシテオメデトウ御座います!!」

「オ、オメデトウゴザイマス」×全員

「・・・・・・そう言う訳で全員死ね!!」

俺はチャクラを全開にして、その場に居た上忍・暗部・火影を含む全員をぶちのめした。

無事任務を達成して、とても晴れやかな気分で新年を迎えることが出来そうだ。

仕上げに帰って家の連中にヤキ入れすれば良し。

会場の外に出て門番の人達に任務報告をしてやると、とても感謝された。

しかし、一番重要な人間を忘れていた。

そう・・・・・・この忘年会の主催者をシバキ忘れていたのだ。

俺は慌てて中に引き返し、ぐったりしてるじいさんを叩き起こした。

「火影様!主催者は何処ですか!?何処に居るんですか!!」

現在は九妖なのでとりあえずは敬語で尋ねた。

「・・・・・・・・・・・・(ガクっ)」

プルプルとターゲットが居るであろう方向を指差し、ジィさんは力尽きた。

そのままジィさんを投げ捨てて、ターゲットを目指して廊下を駆け抜ける。

どうやら主催者の大名は、会が始まって暫くして個室に引っ込んだらしい

高級ホテルなだけあって、やたらと部屋数が多い・・・が、そんな事で挫けはせん。

―虱潰しに当たってやる!
 俺の視界に入った瞬間がお前の最後と思え!!

片っ端からドアを開けて部屋の中を確認していく。・・・・・・俺が部屋を空けた途端、青い顔をするのは何故だ?

新品の仮面に、新品の忍装束(ベスト)、クリーニングに出したばかりのアンコとお揃いのコート。・・・格好は可笑しくないよな?

―あっ!ノックしなかったからか!こりゃ失礼!

まぁそんな調子で確認した部屋数およそ50!ようやく当たりの部屋にたどり着いた。

まだ開けてないが、この部屋から木ノ葉の忍のチャクラを感じる。どうやら1人ではなく2人で居るようだ。

―・・・長かった。

ここに辿り着くまでにばぁさんの着替えが1回・・・お楽しみの真っ最中のカップルが実に4回。

―なんでカギしねぇんだ! カギをよぉ!!(してても無理やり開けるけど)

ええい! この際そんなことはどうでもいい!


「だっしゃあ!!」

俺は勢いよくドアを蹴破り、ターゲットの部屋の中に踏み込んで、再び硬直した。

何なんだろうこの状況は・・・・・・。



@まず部屋の中には2人の男女がいる。

A片方は忘年会の主催者、火の国の大名。いかにもエロ爺って感じでムカつく。

Bもう片方はアンコの知り合いの特別上忍(この当時)名前は確か夕日・紅さん。

C紅さんの両手をエロ爺が押さえつけてる。

D紅さんの服は所々破けて、素肌が覗いている。

E紅さんは顔を背け、目尻には涙が見える。

Fエロ爺の頬には引っ掻き傷がある。

G2人はベッドの上・・・・・・。




え〜と・・・・・・こう言う事かな?



@エロ爺は会場にいるバカ供が騒いでる間に部屋に戻った。

Aエロ爺は適当に理由をつけて、紅さんを部屋に呼んだ。

Bエロ爺には下心があり紅さんに言い寄った。

C当然、紅さんはそれを断った。

Dエロ爺は紅さんを無理やり手篭めにしようとしたが、反撃にあう。

E女とはいえ紅さんは忍、力では勝てないと悟る。

Fエロ爺は戦法を変え『へっへっへ、ワシに逆らえば里がどうなっても知らんぞ?』と、紅さんを脅した。きっとそうに違いない。

Gそう言われれば、大抵の者は逆らえない。紅さんも例外ではない。

H紅さんは悔しさのあまり涙を堪えている。

I状況から見て、犯行はまだ未遂。


「キ、キサマ! こ、こ、断りも無く入って来るとは何のつもりだ!!」

―面白いぐらい慌ててるな、このエロ爺・・・。

どうやら俺の考えに間違いは無さそうだ。

ただ一瞬だけ『そういうプレイ?』と考えてしまったのは内緒だ。

「紅さん・・・であってますよね?」

よっぽど怖かったのか、紅さんは勢いよく俺に抱きついてきた。

―うーん・・・普段の紅さんからは考えられない行動だな。

「紅さん大丈夫でしたか?」

喚くエロ爺を無視して自分のコートを紅さんに羽織らせ確認を取ると、そのまま俺にしがみついて泣き出してしまった。

「質問に答えんかキサマぁ!! ワシを誰だと思っておる!!! 即刻、女を置いてここから出て行け!!」

いかん。コレの事を完全に忘れてた・・・・・・だって紅さんの胸が当たっとるとですよ!

―紅さん・・・そんなすがる様な目で見上げるのは止めてください、マジで理性が飛びそうです。

「わかったから、深夜に大声出すな喧しい・・・」

この爺は人間のクズだ。そんな輩に払う敬意など持ち合わせていない。・・・・・・他の連中に敬語使ってるのは上辺だけだし。

「質問に答えよう。お前の事は知っている、火の国の大名だろう・・・・・・それと最後のは命令か?」

紅さんの背中を撫でながら、一応質問に答えて最後に確認を取った。・・・聞くつもりはないが。

「そうだ! ワシに逆らえば里がどうなるか分かるだろう、ん?
 それが分かったなら、その女を置いてさっさと出て行け!!」

『里がどうなるか』と言う言葉が出ると紅さんは暗く沈んでしまった。

この人・・・俺が里云々でこんな奴の言う事聞くとでも思ってんのかな?

他はともかく紅さんを見捨てるわけ無いのに。

だって紅さんには『ナルト』の時に世話になったし俺を憎んでないから。

前に里の連中にやられて怪我した時に手当てしてくれたしな。

紅さんの名前は後でアンコに聞いて知った。

「里がどうなろうと知らん! 女は渡さん! お前はシバキ倒す!
・・・以上。 紅さん、少し待っててくださいね?」

紅さんを安心させるために抱き寄せて微笑んだ・・・・・・面のおかげで意味ないけど。

「は、はい!」

何故に敬語なのか分からんが、とりあえず安心してくれたようで表情がパァーっと明るくなった。

エロ爺がゴチャゴチャ喚いてるがこの際聞こえない。

まず軽くジャブで黙らせ、次に下段に廻し蹴りを放つ、膝が崩れたので顎への掌底で優しく立たせてやる。

何か骨が砕けたような音が聞こえたが気のせいだろう。

掌底を喰らわせたついでに顎を掴み、壁に磔にして鳩尾に下突きを一発、崩れ落ちるとこに踵落とし。

止めに後頭部に足刀をかましておいた。

ちょっと少ない気もするが、エロ爺への制裁はコレで終了。

―あっそう言えばコイツが主催者だったな

すっかり忘れてたのだが、まぁいいだろう。









「ありがとうございました! 貴方が助けてくれなかったら今頃は・・・」

作業を終わらせたら、紅さんが勢いよく抱きついてきた。

「あの・・・もしよろしければ、お、お名前をっ・・・!!」

―前にあった時と性格が違うような・・・?

なにやら視線が妙に熱っぽいのは何故なんだろう。

「え〜と・・・流石に本名じゃマズイんで・・・暗部名でもいいですか?」

「構いません!! それと何かお礼を!!」

「く、九妖と言います・・・。 それと、礼には及びませんよ」

あんまり勢いが凄かったんで、ちょっとだけビビってしまった。

「・・・九妖様・・・・・・迷惑ですか?」

断ったら泣きそうな顔で見つめられたんで、グッと来たのは秘密だ。

里一番の色気を持つと噂されるだけあって、『泣きそうな顔も綺麗だな〜』とか思ったのも秘密だ。

・・・ばれたらアンコに殺されてしまう。

「わ、分かりましたから、泣かないで下さい。
 ・・・それから様も止めて下さい、暗部と言っても紅さんのほうが年上ですから」

そう言うと笑顔に戻ってくれたので、とりあえずホッとした。

ちなみに九妖は設定上、暗部に入ったのは15歳で現在は25歳という事になっている。

面で顔は見えんが、万が一の時の為に変化で徐々に年をとっている様に見せている。

でも、玉藻に見せたら『髪が黒くなり、年をとっただけではないのか?』と言われた。

そんな筈はないと俺的には思う。

でもそれはおいといて、紅さんにまた泣かれても困るのでお礼の申し出を受ける事にした。

仕事を押し付けられたんで、忘年会では何も口にしてないと言ったら居酒屋に連れてってもらうことになった。

俺は下戸だから飲まねぇけど・・・と言うか未成年だし、紅さんも酒飲むのが目的じゃないから大丈夫だろ、多分。

・・・・・・・・・・・・だが俺はこの申し出を受けた事を後々後悔する事になる。

あとどうでもいいけど、俺がぶちのめしたエロ爺は、この一週間後公金横領が発覚してあえなく御用となった。







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